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BOOK 親の就労を保証、子供の成長を促す社会・経済的インフラ 最前線で格闘する実態聞く 萩原和也さん『知られざる<学童保育>の世界』

zakzak by夕刊フジ / 2024年10月13日 10時0分

支える側の保証も

――学童保育の理想は

「一昨年でしたか、学童保育所で働く人からのXへの投稿には愕然としました。『給料が安くて夫婦で生活するのがやっと。子供をあきらめた』と。学童保育はあって当たり前の時代から生きていく上で必須の社会的インフラと捉えれば、それを支えるエッセンシャルワーカーとしての権利はもう少し保証されても良いのでは。やりがいを感じて仕事を続ける人の善意を逆手に〝やりがい搾取〟が行われないような社会になればいいですね」

「そんな中ですが2023年、『こども家庭庁』が発足し、こどもまんなか社会を目指す取り組みが始まりました。欲を言えば、学童保育所こそを子供が成長する場との観点で考えていってほしいです」

――学童保育所側の変革も必要だと

「今は短期間で取得できる『放課後児童支援員』という資格とは別に、学童保育という仕事の誇りにつながる新しい資格制度の導入もあっていいかと。保育所と同じように市区町村に設置義務を課すなど制度の骨格が充実すれば、子供の虐待や悲惨な死亡事故などを未然に防ぐシステムがさらに整います」

――次なる一手は

「新人の女性放課後児童支援員を主人公とした小説を書き始めています。思わぬところで世間の常識が仇となったり、良かれと思ってしたことがボタンのかけ違いの端緒となるなど仕事の難しさを浮き彫りにしながら、それらを一つずつ解決して主人公が成長していく姿と、児童虐待、子供の福祉と貧困問題も織り交ぜ現状をリアルに描きたいと思います」

■『知られざる<学童保育>の世界』寿郎社、2090円税込み

現代の子育てに不可欠な学童保育。だが知っているようで知らないのが学童保育の世界だ。本作は、学童保育を利用中の保護者や業界にいる人にはエールとともに、一緒に問題点を考える際の指南書となり、これから学童保育に携わる人には学童保育の歴史や行末を深く知るテキストとなるだろう。

■萩原和也(はぎわら・かずや) 1970年1月21日東京都生まれ。54歳。中央大学法学部卒。産経新聞、夕刊フジ記者を経て、2011から22年までNPO法人「あげお学童クラブの会」代表理事など、運営事業者として学童保育所の運営にかかわる。19~21年埼玉県学童保育連絡協議会副会長。23年日本で唯一の学童保育所の運営支援を行う非営利法人「あい和学童クラブ運営法人」を設立、学童保育支援アドバイザーに。

(取材・冨安京子/撮影・鈴木健児)

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