徹底解説・第6弾 男性更年期 患者はどうやって克服したか 頻尿を改善する新しい体操、骨盤底筋群鍛える「110度スクワット」 テストステロンの低下で膀胱を収縮する筋肉も衰える
zakzak by夕刊フジ / 2024年9月13日 6時30分
uMIST東京代官山 斎藤恵介院長に聞く
日中、トイレに何度も行かざるを得ない頻尿は、男性ホルモンであるテストステロンの低下が原因の場合がある。テストステロンの低下では、尿道の刺激性が上がり、膀胱(ぼうこう)を収縮する筋肉も衰えるからだ。膀胱の拡張・収縮力が低下すると尿をためることができなくなり、尿意を感じやすくなる。
「膀胱の筋肉を直接鍛えることができなくても、膀胱を支えるインナーマッスルの骨盤底筋群を鍛えることはできます。ただし、骨盤底筋群は尿道括約筋や肛門拳筋(きょきん)など複数の筋肉で成り立っています。その鍛え方を間違えると、意味がないともいえます」
こう話すのは「泌尿器・日帰り手術クリニック uMIST東京代官山―aging care plus―」(東京都渋谷区)の斎藤恵介院長。
たとえば、次のようなケースは典型的だ。
60代のJさんは、1時間に1回は急な尿意を感じてトイレに行くようになった。長時間の会議はもとより、趣味の映画鑑賞のときも途中でトイレに行きたくなる。近所の泌尿器科で検査を受けて過活動膀胱と診断され、尿意を感じたときに少し我慢する膀胱訓練と、骨盤底筋体操を勧められた。肛門などを締めるように指導されたのだが、うまくいかない。
頻尿も治らないため、Jさんはメンズヘルスクリニックを受診することにした。そこで男性更年期障害と診断され、生活習慣の見直しや体操指導と同時に、ホルモン補充療法(TRT)を受けた結果、約3カ月後には頻尿が改善された。
「骨盤底筋体操として、いろいろな方法が提案されていますが、私は筋電図を使った研究で、PNF療法(血管促通療法)を基にトレーニングを開発しました」(斎藤院長)
PNF療法は、米国の医師と理学療法士が共同開発したリハビリ技術のひとつで、自分の体が本来持っていた運動機能を引き出す。
それを応用した斎藤院長の新しい骨盤底筋体操のひとつ「110度スクワット」をご紹介する。
①両足を肩幅より少し開いて立ち、胸骨と恥骨がまっすぐ一直線になるように姿勢を正し、胸の前で両腕を組む
②ゆっくりと腰を下して膝が110度程度(軽く曲げるようなイメージ)で止める。ポイントは、このとき足の小指に力を入れて床を押すこと
③腰をゆっくり上げ①の位置に戻す。①~③を10回繰り返して1セット
「1日1セット行うだけで骨盤底筋群は鍛えられます。萎縮・退縮した筋肉を動かすことで、血液や神経の流れがよくなり筋肉量も増えます。慣れてきたら、腕を組んだまま上半身を左右にねじると運動強度が上がります。スクワットをしながら小指に力を入れることで、太ももの内側の筋肉の収縮が強調され、骨盤底筋群の収縮を促します」
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