照ノ富士〝引退覚悟〟の土俵で白星も どうなる「横綱不在」危機 55年ぶり同時昇進に期待の両大関、豊昇龍は絶好調も琴桜は早くも土
zakzak by夕刊フジ / 2025年1月14日 11時55分
■大相撲初場所 2日目=13日、東京・両国国技館
横綱照ノ富士(33)=伊勢ケ浜=が〝引退覚悟〟の土俵で白星を挙げた。ここ2年は優勝と休場を繰り返してきたが、さすがに今年はもう同じことが許されない状況だ。55年ぶりの横綱同時昇進が期待される両大関のうち、豊昇龍(25)=立浪=は連勝発進も大関琴桜(27)は早くも土。今年で100周年を迎えた日本相撲協会は、横綱不在の危機を乗り切れるのか。 (塚沢健太郎)
休場明けの初日黒星でいきなり崖っぷちに立たされた照ノ富士は、東前頭筆頭の隆の勝(30)=常盤山=を寄り切りで下したが、得意の左上手を引きながら土俵際で残られるなど苦戦。長男ら家族が観戦する前で薄氷の白星を手にし、「今場所はやれることをやって、駄目だったらという思い。自分の全てを出し切って、後先を考えずやりたい」と悲壮な〝引退覚悟〟を口にした。
昨年1年間で途中休場した春、夏場所は両方とも初日黒星だっただけに、うまく滑り出したかった前日は小結若隆景(30)=荒汐=の肩透かしに1秒で両手をつく不安なスタート。九重審判長(元大関千代大海)は「若隆景は(動きが)速いので(照ノ富士は)ついていけなかった。後がないと本人も分かっているでしょうし。テレビのインタビューで『後のことは後で考えればいい』というコメントしていたけど、勇ましくも見えるし、(引退を)考えてはいるんだなと捉えることもできる」と指摘。「(体は)よくないでしょう。馬力がない。悪いながらもやっている感じで、横綱の責任を果たすために土俵に上がっているが、2度、3度負けたら…」と厳しい目を向ける。
照ノ富士は横綱2場所目の2021年九州場所から20場所連続で一人横綱の重責を担ってきた。これは04年初場所から21場所務めた朝青龍に次ぐ歴代2番目の長さだが、内容を比べれば大違い。朝青龍はその間に16度の優勝を誇り、途中休場が1度あっただけだ。一方の照ノ富士は横綱在位21場所で休場は実に12度。休場率・571は稀勢の里の・818には及ばないものの、他に横綱がいればこれだけ休むことは許されず、引退を勧告されていたはずだ。
今場所限りで任期満了のため退任となる横綱審議委員会の山内昌之委員長は「横綱を推挙して辞める。私の最高の花道。今年は一人といわず、横綱誕生を願っている」と切望。1992年に北勝海の引退後、5場所続いて以来の横綱不在を是が非でも回避したいところだが、横綱に最も近い琴桜は2日目で早くも小結阿炎(30)=錣山=にいいところなく突き出され、完敗を喫した。
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