土日チーム優先で「家族に迷惑かけた」 コーチ不足阻止へ…私生活を確保する“担当制”
Full-Count / 2024年4月19日 7時50分
■南大阪ベースボールクラブ・池西亮太監督は自身の経験から曜日担当制導入
指導者がそろっていなければ、チーム運営や選手育成は難しい。出身選手が全国の甲子園常連校に進学している大阪・和泉市の中学硬式野球チーム「南大阪ベースボールクラブ」では、コーチ陣の担当する曜日が決まっている。本人が希望しない限り、土曜も日曜も指導することはないため、プライベートな時間も確保できている。
「もちろん、野球の指導が大好きで続けています。ただ、今も出掛けるのは雨の日だけ。家族には迷惑をかけています」
2011年にクラブを立ち上げた池西亮太監督は、申し訳なさそうに話す。選手の成長をサポートするのは充実感がある。だが、限りある時間を野球の指導に使えば、家族と過ごす時間は当然ながら少なくなる。土日は毎週、自分の子どもではなくチームの選手と過ごしてきた。
「保護者の方々から大切な子どもたちを預かっているので、チームを最優先にしてきました。コーチ陣にはプライベートな時間を確保して気持ちをリフレッシュしてもらうことで、指導にも良い影響が出ると考えています」
南大阪ベースボールクラブには現在、8人の指導者がいる。中には、家族を持っている人もいる。池西監督は野球の指導と家族の時間を両立する方法を考え、曜日担当制を導入している。
チームの活動は平日2回と土日の週4回。「平日」「土曜日」「日曜日」と指導の曜日を振り分け、土日のうち少なくとも1日は、チーム以外の時間を取る仕組みとなっている。家族の予定や仕事が入れば、他の指導者と相談して担当する曜日を入れ替えられる。
曜日担当制で重要になるのは、指導者間の情報共有と連携。船頭が複数になり、指導者によって選手に伝える内容が変わると混乱が生まれるため、チームには投手と打撃にそれぞれチーフコーチを置いている。指導する曜日がチーフと重ならないコーチが、選手に技術的なアドバイスする時は、必ず事前にチーフに連絡して承諾を得るという。
池西監督は「野球への取り組み方や心掛けのような部分は構いませんが、テーマにしていた練習内容やフォームを変えるといった核になるところは、1人の指導者だけで決めるとトラブルの原因になりかねません」と語る。
8人の指導者がコーチングを担当。情報共有を密にしている【写真:チーム提供】
■指導者の年代で役割分担…20代は“兄”、40代は“父親”
指導者の年代によっても役割が変わる。選手と年齢が近い20代の指導者は“兄”のような距離感で、選手たちとグループLINEで連絡をとる。一方、池西監督ら40代の指導者は“父親”の代わりを務める。選手と一定の距離を保ち、怠慢プレーやチームの士気を下げる態度は厳しく指摘する。30代の指導者は、20代と40代の間に入ってバランスをとっている。池西監督が意図を説明する。
「全ての指導者と選手の距離が近すぎると、チームに締まりがなくなります。大切な子どもたちを預かっているので、保護者が家庭において叱るようなことは、チームとしても叱っています」
保護者が指導者をする「パパコーチ」は、チーム創設から一度も取り入れていない。南大阪ベースボールクラブでは選手の自立と対応力を掲げているため、保護者にはグラウンドに来ることを控えてもらうよう伝えている。
ただし、自宅に戻って親子で上達する方法を研究し、新しい打ち方や投げ方をチームの練習で試すことは禁じていない。池西監督は「指導者が選手にアドバイスはしますが、その通りにするかどうかは選手次第です。YouTubeなどで見たフォームで結果が出るなら、その方が選手は野球が楽しいはずですから。一方。野球経験が豊富なお父さんほど、何も言わずチームの指導者に任せてくれる傾向があると感じるので、責任も大きいと思っています」と話す。
小・中学生の野球チームで指導者不足に悩むチームは少なくない。土日のどちらかは家族と過ごす時間を確保できる曜日担当制は、課題解決のヒントになる。(間淳 / Jun Aida)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
保護者会なし、退出自由…“ツール活用”で負担減 「家庭に圧かけない」チーム運営
Full-Count / 2024年4月25日 7時5分
-
弁当忘れたら自力調達 保護者は“立入禁止”…当番制なしで築く親子の「理想的距離感」
Full-Count / 2024年4月18日 7時50分
-
腰への負担増す打撃での「禁止行為」 フォームは自由でも…成長期に避けたい“リスク”
Full-Count / 2024年4月17日 7時50分
-
力頼みの球速アップは「効率良くない」 強豪に選手輩出…将来に活かす“道具”への理解
Full-Count / 2024年4月16日 7時50分
-
「高校から声かかりにくい」2つの守備位置 強豪校にOB輩出…“売れる選手”の育て方
Full-Count / 2024年4月15日 7時50分
ランキング
-
1阪神監督が「僕をクビにしようと思っている」 “勝ちたい発言”で冷遇…抱いた違和感
Full-Count / 2024年5月2日 6時50分
-
250年ぶりに復活の琴桜、初アナウンスに「自分でもビックリ。完全に忘れていました」
スポーツ報知 / 2024年5月2日 16時10分
-
3【MLB】山本由伸が6回5安打無失点で3勝目 15イニング連続無失点を継続中
東スポWEB / 2024年5月2日 13時58分
-
4大谷翔平、33試合目でド軍移籍後初のスタメン落ち 前夜は“蜂ショック” 敵地9連戦ラストで休養か
スポーツ報知 / 2024年5月2日 6時50分
-
5大谷翔平契約「お~いお茶」広告ロゴが“横向き”の理由 「稀有な例だね」と納得の声
THE ANSWER / 2024年5月2日 18時3分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください