味方のミスで“狙った三振” 西武25歳の心意気…上がった球速、指揮官も絶賛
Full-Count / 2024年4月20日 12時44分
■西武・今井、今季2勝目…連敗ストップに「もともと止める気でいた」
■西武 5ー4 楽天(19日・ベルーナドーム)
西武の今井達也投手は19日、本拠地・ベルーナドームで行われた楽天戦で7回5安打1失点の快投。9三振を奪う投球で今季2勝目を挙げた。34奪三振はリーグトップ、防御率0.64(19日現在、以下同)もリーグ2位につけた。初の2桁勝利(10勝)をマークした昨季と比べても、ストレートの平均球速が150.4キロから153.5キロにアップするなど、NPBを代表する投手として円熟味を増しつつある。
気迫あふれる投球でチームの連敗を「7」で止めた今井は「もともと止める気でいたので」と言い切った。3点リードで迎えた3回、2死走者なしから楽天・小郷裕哉外野手の放った打球が右前を襲い、ライトを守る山村崇嘉内野手がダイビングキャッチを試みるも後逸。ボールが転々とする間に小郷が三塁まで達すると(記録は三塁打)、今井はここぞとばかりにギアを上げた。
味方野手にミスが出た時こそ、投手の腕の見せ所である。今井は「あそこは僕がカバーするところだと思いましたし、三振を取って(ベンチに)帰りたかった」とうなずく。実際、村林一輝内野手に対し、この日最速の157キロ直球などでカウント3-2とした後、外角低めの141キロのスライダーを振らせて、狙い通り三振に仕留めた。
5-0で迎えた7回には、鈴木大地内野手に中前適時打を許するも、なお続いた1死満塁のピンチでは追加点を許さず、1失点で降板した。8回に2番手の甲斐野央投手が3ランを浴びて1点差まで迫られただけに、結果的に今井の粘投に大きな価値があった。
球数は103球。無類のタフネスを誇る今井にしては少なかったが、松井稼頭央監督は「連敗中で期するものがあったと思います。初回から飛ばして、粘り強く投げてくれました。球数以上に負荷がかかっていたと思います」とねぎらった。
楽天戦にはめっぽう強く、2021年10月15日の対戦(楽天生命パーク)で9回1失点完投勝利を挙げて以降の4年間で、無傷の11連勝となった。今季は楽天戦に限らず、登板全4試合を通じて相手につけ入る隙を与えていない。
■鴻江スポーツアカデミー参加が飛躍のきっかけ…「あし体」タイプ
松井監督が「(今井は)真っすぐのスピードも、他の球種のスピードも上がってきている。真っすぐも変化球も、しっかり腕を振っています」と説明する通り、ストレートのみならず、スライダーも昨季の平均135.8キロから138.8キロ、チェンジアップも昨季の138.6キロから141.7キロと球速がアップしている。
「スピードガンを意識せず、速い球を投げようと思っていないところがいいのではないでしょうか」と今井。「(球速アップの理由は)自主トレからやってきたことの、毎日毎日の積み重ねです。投げる以前に、マウンドにしっかり立つことを意識しています。どういうボールが行くかは、マウンドに立った時点で7割くらい決まっているので」と説明した。
一昨年のオフに同僚の隅田知一郎投手とともに、アスリートコンサルタントの鴻江寿治氏が福岡県内で主宰する「鴻江スポーツアカデミー」の合同自主トレに参加したことが、飛躍のきっかけとなった。選手を上半身主導の動きが適している「うで体」と、下半身主導が適している「あし体」の2タイプに分け、それぞれに適したトレーニングを課す理論で、今井は「あし体」にあたるという。
「隅田ともいろいろ話をしていますが、去年の自分の成績で、オフからやってきたことが正しかったという自信がつき、さらに1つ1つの積み重ねが自信につながっています」と語る。
今季は初めて開幕投手も務め、エースの風格も漂い始めた。「ボールを持っている以上、主導権は投手と捕手にある。守備でも攻めていかないと、試合の流れは来ないと思っています。投手からそういう雰囲気をつくって、チームが調子づいていければいい」。チームを背負う責任感をにじませた。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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