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決勝戦で連敗…ノーサイン決断「これだ」 選手を激変させた“教え過ぎ指導”の脱却

Full-Count / 2024年5月23日 7時50分

富山県の学童チーム「比美乃江稲積JBOYS」【写真:チーム提供】

■富山・比美乃江稲積JBOYSの東軒宏彰監督「選手を見守って指導者も楽しむ」

 ガミガミ叱っても、子ども能力を引き出せない。富山の少年野球チーム、「比美乃江稲積(ひみのえいなづみ)JBOYS」の東軒宏彰監督は、選手たちが考える時間をつくり、自主性を育む指導方針に転換してからチームが県大会決勝の壁を越えられるようになったと話す。First-Pitchでは、全国の気になる学童チームの“選手を育てる秘訣”に着目。同チームでは、野球の楽しさを伝える指導に重点を置き、近年は小学3年生以下を対象にしたティーボールの部を無料で運営している。

 東軒監督は少年野球チームを指揮して18年目となる。昨年は“小学生の甲子園”と呼ばれる「高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」に出場し、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会が中止となった2020年も富山県代表として出場切符をつかんでいる。他の大会でも、コンスタントに県の頂点に立つチーム力をつけているが、8年ほど前までは決勝で何度も涙をのんできたという。最初の10年間の自身の指導を、東軒監督はこう振り返る。

「選手にガミガミ言っていました。1から10まで指導者が教えていましたね。ただ、その指導では選手が成長しないと気付きました。練習や試合で成功や失敗について話し合い、どうしたら次は上手くいくのか選手同士で考える時間をつくりました」

 ある日の練習試合、東軒監督は選手にサインを出すのをやめた。すると、選手たちは試合中や試合後に自然と話し合うようになった。「これだ!」。東軒監督のモヤモヤは晴れた。大会でもあらゆるサインを出すのではなく、選手たちに任せる場面を増やしていった。その結果、準優勝が多かった県大会で頂点に立った。指揮官が語る。

「子どもたちの考える力や自主性が大事と指導者も納得しました。そこから、ガミガミ言うのをやめました。選手たちは試合で得点すると今まで以上に喜び、勝利すると笑顔が増えました。選手を見守って指導者が楽しむことも大事だと強く感じました」


比美乃江稲積JBOYSの練習の様子【写真:チーム提供】

■野球の楽しさ伝える取り組み…小学3年生以下は無料でティーボール指導

 指導方針を切り替えた東軒監督は、野球の楽しさを伝える対象を小学校低学年や園児まで広げた。比美乃江稲積JBOYSには小学3年生から6年生まで所属しているが、2017年から小学3年生以下を対象にしたティーボールの部もスタートした。費用は無料で、野球に興味を持つ子どもを増やす目的で続けている。昨年のマクドナルド・トーナメントに出場した選手たちの中には、小学3年生の時にティーボールの大会で日本一になった選手も多かった。

 東軒監督は小学校低学年や園児への競技普及が野球の将来には不可欠と考えている。「この年代でボールやバットに触れないと競技人口は、どんどん減ってしまいます。子どもたちに野球を続けてもらうのが指導者の役割です。そのためには野球の楽しさを伝えて、指導者も保護者も楽しむことが大切だと思っています」。比美乃江稲積JBOYSは6月3日から開催される「少年野球フェスティバル」に登場予定。叱る指導では、選手の成長や野球の未来につながらない。(間淳 / Jun Aida)

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