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強い子だけ残る球界「なんとかしたい」 元プロ共感…“指導者アップデート”の必要性

Full-Count / 2024年5月29日 7時50分

福山ウエスト野球クラブのトレーニングの様子【写真:チーム提供】

■福山ウエスト野球クラブは「ベストコーチングアワード」でトリプルスターを獲得

 小中一貫の指導で話題を集めている広島・福山市の少年野球チーム「福山ウエスト野球クラブ」は、今年3月に「ベストコーチングアワード2023」で最大評価のトリプルスターを獲得した。子どもたちの未来を大切にする指導方針で、チームを創設した福田明男代表は「体の強い子だけが生き残る野球界をなんとかしたい」と思いを口にする。Full-Countでは、全国で話題の学童野球チームの“選手を育てる秘訣”に着目。福山ウエストの育成環境整備に迫った。

 ベストコーチングアワードは、子どもたちの適切なスポーツ環境を整備するため、医療的観点やコンプライアンスを逸脱した指導をゼロにしたい考えのもと、学童・少年野球の指導者にスポットライトを当て表彰するイベントだ。「福山ウエスト野球クラブ」は昨年のダブルスターに続き、2年連続の受賞となった。

 古い習慣や伝統にとらわれないことを掲げ、2021年にチームを創設した福田代表は「怪我をしない方法、体づくり、食事面など、専門の指導者を招き、選手が将来的に長くプレーできる環境を作りたいと思っています」と語る。元プロの監督、コーチが最新の練習方法やトレーニング理論を学び、グラウンド以外でも栄養士、医学療法士、カウンセラーら20人以上が子どもたちをサポートする。

 チームの指導者には「1人1人を見て、我が子のように育ててほしい」と伝えている。令和になった今でも高圧的な態度や罵声、暴言が飛び交う“昭和野球”は存在するだけに、次世代には野球の楽しさを改めて伝える必要があると感じている。


福山ウエスト野球クラブの打撃練習の様子【写真:チーム提供】

■グループ総監督を務めているのがソフトバンク、DeNAでプレーした白根尚貴氏

 バラエティ豊かな指導者がそろう。2021年夏からチームに携わりグループ総監督を務めているのが、島根・開星高のエースとして春夏通算3度の甲子園出場を果たし、ソフトバンク、DeNAでプレーした白根尚貴氏。その他にも甲子園経験者、社会人野球経験者らが打撃、走塁、守備、投球など各部門で専門的な技術を教えている。

「過去の実績が高ければ高いほど、野球人は自分のことを言われるのが一番、嫌だと思います。だからこそ、指導者のアップデートが必要。威圧的な態度ではなく、子どもたちを前向きにさせてほしい。もちろん、叱ることだってあります。子どもたちが間違った方向に行くのを止めるのは大人の役目。そこでの言葉の使い方が重要。幸い、指導者たちはこのチームに共感して集まってくれています」

 福山の地で掲げた“野球改革”は周囲に浸透していき、今では小中合わせて70人(小学生45人、中学生25人)を超える大所帯に成長した。目の前の1勝よりも、未来ある子供たちを大切にする。理不尽な練習や不要な上下関係で、野球界を去る子どもたちを1人でもなくしていく。

「ここを卒業した子どもたちに『いい指導者だったよね』と言われる指導者がいるチームでありたい。いずれはこのチームに戻ってきて、次の時代に継承している子が育ってくれれば。理想には近づいていますが、やりたいことはどんどん出てきます」。野球界の古き悪しき伝統を改変し、一歩先を見据えてチーム作りを続ける「福山ウエスト野球クラブ」は、6月3日から開催される「少年野球フェスティバル」にも登場予定だ。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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