名前呼ばれず途中退室「すごく嫌でした」 ドラ1の横で…喜べなかった指名
Full-Count / 2024年10月1日 7時10分
■元DeNAの石川雄洋氏が涌井秀章とプレーした横浜高時代を回顧
横浜、DeNAとベイスターズ一筋で16年間プレーした石川雄洋氏は、横浜高時代に現在も中日で活躍する涌井秀章投手とともに甲子園に出場するなど注目の存在だった。Full-Countのインタビューでは涌井との関係や「すごく嫌でした」という2人で迎えたドラフト会議当日を振り返った。
石川氏、涌井らの学年は20人程度。県外生は寮生活だったため静岡出身の石川氏と千葉出身の涌井は同部屋だったという。「高校に入ったとき、ワク(涌井)がプロに行くと思わなかったし、ワクも僕がプロに行くと思っていなかったでしょうね」と笑う。
プロ通算162勝(30日時点)を誇る涌井だが、当時は「ワクよりすごいヤツが1人いたんです。伊藤余美也っていうんですけど」と明かした。「彼の方が球がエグかったですね。でも、ワクの方が体は強いし、練習するし、メンタルも強いので最終的には伸びた感じです。3年の春くらいに覚醒した感じでしたね」。
2004年のドラフト会議当日は忘れられない1日だった。1位指名が確実視されている涌井に対し、「プロは全然意識していなかった。プロ志望届を書いた記憶もないくらいです」という石川氏。「スカウトの人がワクをよく見に来ていたので、そこに僕もいてたまたま引っかかったんだと思います」と謙虚に語る。
学校側が用意した会見場に2人で並んで座った。「ワクは確実に1位で指名される。すぐ呼ばれるわけです。自分はどうか分からない。すごく嫌でした。まだ高校生で生意気だったので『何で俺までここに座っているんだよ。ワクだけでよくない?』みたいに思っていました」。
元DeNA・石川雄洋氏【写真:湯浅大】
■高校時代の同僚、涌井は「ツンデレですよ」
予想通りに涌井は西武から1位指名。その後、ドラフト会議の経過を見守るも、いっこうに名前は呼ばれない。同席していた指導者が気を遣ったのか「グラウンドに行って練習でもしてろ」と声をかけられ、会見場を退室した。
実際に練習したわけではなかったが、涌井と2人でいるとチームのマネジャーから横浜に6位で指名されたと伝えられた。「喜びたいけど心から喜べないというか……。ワクが1位で悔しい思いはありました。嬉しいけど、悔しいような恥ずかしいような複雑な気持ちでした。めっちゃ喜んだ、という記憶はないですね」。
現在でもたまに連絡を取り合うという。「2人だけで食事とかはないですけど」と苦笑い。1986年代生まれの学年で、涌井とパドレスのダルビッシュ有投手が現在もプロの一線級で活躍している。「結局、僕らの世代のツートップが残っている。尊敬しますよね」。
今春、解説者としてダルビッシュのキャンプを取材をしたという。「考え方や練習に取り組む姿勢はダルのままでした。年齢を重ねたので人間性は丸くなった感じでした。野球人としてすごくストイックですけど、面倒見はいいですよね」。さらに続けた「ワクも後輩をよく食事に連れて行ってる様子をX(旧ツイッター)で見ますけど、あいつはツンツンしていますからね。ツンデレですよ」。世代自慢のツートップを語る石川氏の顔は少し嬉しそうだった。(湯浅大 / Dai Yuasa)
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