台湾でNPB経験者が重用されるワケ 唯一の1000勝監督が明かす…選手に及ぼす好影響
Full-Count / 2024年10月2日 21時5分
■「台鋼ホークス」の洪一中氏監督が称賛する王柏融らの取り組み
台湾プロ野球で第6の球団「台鋼ホークス」は今季1軍に参入した。チームを率いるのは台湾プロ野球(CPBL)唯一の1000勝監督である洪一中氏で、日本選手だけではなくNPBを経験した人材が多い。1軍投手統括コーチを横田久則氏、1軍のトレーニングディレクターコーチを里隆文氏、2軍の投手アシスタントコーチを福永春吾氏が務めているほか、1軍打撃コーチはかつて巨人でプレーしたルイス・デロスサントス氏が務める。侍ジャパンの井端弘和監督、吉見一起投手コーチも、客員コーチをつとめた。洪一中監督と横田コーチに現在地を聞いた。
――(元中日、オリックスの)スティーブン・モヤが大活躍している。
洪一中監督「台湾の前に、NPBでのプレー経験があります。日本の投手のレベルは台湾よりも高いですから、台湾の投手にアジャストしやすいという点はあると思います。モヤ自身も日台のレベルの差を肌で感じているからこそ、より自信をもってプレーできているという部分もあるかもしれません」
――王柏融と呉念庭の貢献度は(インタビューは呉念庭の負傷離脱前に実施)。
洪「私達のチームは、より積極的に日本野球の文化を取り入れています。2人に求めていることは、台湾でどれだけ素晴らしい成績を残すかということではないんです。日本野球の緻密さ、練習に対する真摯な姿勢といったものを伝えてほしいと思っています。ここまでの彼らの働きには満足していますね。2人は少しでも調子を落とすと、すぐに特打をして調整しています。そうした姿を若い選手たちは見ています。いわば、彼らは若手選手たちのお手本なんです」
「我々は新しいチームなので、選手たちが自発的に、熱心に練習に取り組む、そんなムードを“文化”として植え付けたいんです。日本スタイルは素晴らしくて、アメリカンスタイルは悪いと言う事ではありません。アメリカは個人練習、日本はチーム練習に時間を割くことが多いと言われ、台湾でも指導者によって見方は異なります。ただ、私個人としては、アメリカとは文化も選手の体格も大きく異なる中、台湾の選手にとっては、同じアジアの日本式がよりふさわしいと考えています」
■西武などで活躍…横田久則投手コーチが明かす現状
昨年1月1日に台鋼ホークスの投手コーチに就任し、投手の育成・指導を行っているのが横田久則氏だ。現役時代に西武、ロッテ、阪神でプレーし、27勝をマーク。台湾でも兄弟エレファンツ(中信兄弟の前身)で2年プレーし、2003年には16勝をあげ最多勝に輝いた。投手コーチに日本人指導者を招聘したいと考えていた劉東洋GMは、西武で2軍監督、1軍投手コーチ、ファーム・育成グループディレクターを務めるなど経験を持ち、台湾野球にも精通した横田氏に白羽の矢を立てた。横田氏は育成だけでなく、外国人投手の獲得にも関わっている。
――1軍初年度の今季、投手陣のパフォーマンスについて。
横田コーチ「厳しい状況ではありますね。外国人に頼ることが多い中、なるべく台湾人のピッチャーを育てながら勝っていくということを目指しているんですけれども……。育った選手もいれば、なかなか、そうはなっていない選手もいる、というところです」
――日頃若手にはどんなアドバイスを。
横田「怪我が一番、選手の成長を妨げると思っています。何が足りなくて、何をしなければいけないのかということを、本人達にわかるように明確に伝える、そういった部分は気をつけていますね。台湾プロ野球の1軍で戦っていく上で、どのレベルまでいけばいいのか、何が必要なのか、その事を明確に伝えています」
――吉田一将投手獲得の決め手について。
横田「抑えとして起用していたレイミン・グドゥアンの安定感がなくて、後ろが厳しいなってところがあったので獲得しました。チームが成長過程の段階で、勝てるゲームを落としてしまうと中継ぎ陣も崩れてしまうので、意味で吉田にはクローザーをやってもらいたい、そう期待しています」
――台鋼ホークスは、日本球界出身の指導者、選手も多く、親しみを感じる日本のファンは多いと思います。
横田「台湾のプロ野球が盛り上がってくれて、それに波及して、日本にいろんな意味で届いていくっていうのは私の夢でもあります。日台の交流の中で、日本人コーチ、日本人選手の活躍によって、韓国も含めてアジアの交流を図って、アジア野球のさらなる発展につなげていきたいです」(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
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