現地でしか飲めない激レアビール「MINAGOF」を求めてグアムまで行ってきた

ガジェット通信 / 2017年3月18日 15時0分

「ネット通販は田舎暮らしの救世主である」

そんな格言めいた言葉を放ちたくなるほどネット通販にはお世話になっている。4年程前、東京から鳥取に移住した筆者はシャンプーなどの日用品から書籍、息子の誕生日プレゼントに至るまでネットで購入している。もちろん、海外のビールもである。最近は運送会社の疲弊が指摘されているが、「ごめんね…」と心の中で呟きながらも容赦なく購入ボタンをクリックしている。

そんなモノが地球上を飛び回る社会にあって、現地でしか飲めないビールというのが存在する。その一つがグアムのブランドMINAGOF(ミナゴフ)。というわけで、ビールを飲むためだけにグアムに飛んできた。

行列に並んでラーメンを食べる、の比ではない。

グアムまでは関西国際空港からおよそ3時間半程度のフライト。到着すると、謎の銅像とともに湿度を含んだ生ぬるい風が迎えてくれる。

体はビールを欲して臨界点に達している。ラーメン屋の行列に並んでいる人なんて子猫並に可愛いものである。こちとら鳥取から大阪まで夜行バスで6時間、難波から関空まで1時間、そのうえでさらに3時間半飛行機に乗っているのだ。

情報によるとグアム随一の観光エリア、タモン地区のShamrocksというお店がMINAGOFを置いているらしい(ちなみにMINAGOFとは「幸福、喜び、楽しみ」という意味を持つ現地チャモロ語)。タクシーを飛ばすことおよそ15分、「ハイアットリージェンシーの向かい」という意識の高いスポットに到着。見上げるとそれはあった。

ズラリと並ぶタップハンドルと鮮烈なドヤ顔。

入店すると、頭上で高速旋回するいかにもアメリカンな扇風機的なものが迎えてくれる。

が、よく見るとアイリッシュパブの雰囲気に包まれている(shamrockはアイルランドの国花だそう)。

いかつい男たちが木製のカウンターでグラス片手に羽を伸ばしている。彼らの正面にあるのがこちら。

見事に並ぶタップハンドル(ビールを注ぐときに握るやつ)。オンタップ(いわゆる生ビール)で40種類もの銘柄が味わえる。もうMINAGOFは目の前だが、「とりあえずMINAGOF!」は通用しない。MINAGOFはペールエール、IPA、ホワイトIPA、グリーンティーIPA、スモークドポーターの5種展開している。ここはアルコール度数が最も低い(4.3%)が一番人気のペールエールをチョイス。

お店のお姉さんが鮮烈なドヤ顔の末に出してくれたのが、MINAGOFペールエールだ。

MINAGOFの多彩なラインナップを一挙公開!

ホップの心地よい香りと自然なガスのみで泡の少ない見た目。さて、苦節約10時間、ようやく口に含む…。

世界陸上のときに織田裕二(山本高広?)が放つ名台詞が痛いほどわかる瞬間である。ビールの主原料に大麦(モルト)があるけれど、そのモルトの風味が強く、軽い飲み口のわりに味わい深いのが印象的だ。

色々な料理に合わせやすいと思うけれど、バルサミコドレッシングのステーキサラダ(14.95ドル)との相性が良かった。グアムの伝統料理、チャモロ料理との相性も抜群のようである。

続いては、IPA(インディアペールエール)。IPAとは、英国が植民地のインドにエールビールを輸送する際、香りと苦みを付ける役割とともに防腐効果もあるホップを大量投入した結果生まれた、ホップに特徴のあるビアスタイル。

MINAGOFのIPAもアメリカンホップを惜しみなく投入していて、実に香り豊か。苦いけれどモルトの甘味も強くバランスが取れているので、アルコール度数6.6%とやや高いわりにグイグイ飲めてしまう。こちらはお店の看板メニューと言えるハンバーガー(14.75ドル)と合わせたい。ビール好きはMAXの幸福感が得られることを約束する。

グリーンティーIPA(6.0%)は抹茶の香りがするのかと思いきや、トロピカルな甘い香り。これはフルーツなどの副原料を入れたわけではなくホップ由来なのだとか。後味にほんのりお茶の香りを感じてこれまた美味!

そして、ホワイトIPA(4.4%)。小麦ベースにベルジャン/フレンチのブレンドイースト(酵母)で醸され、色はかなり明るく、グアム産のカラマンシーという柑橘類が入って、程よい酸味で飲み口も爽快。度数も低めだし後味にバニラのようなほのかな甘みを感じることもあって、このホワイトIPAはビールにあまり強くない女性におすすめしたい。

ちなみに、これがビタミンC豊富で“奇跡の果実”とも呼ばれるカラマンシー。

MINAGOFにはもう一つ、スモークドポーターがある。残念ながらShamrocksではつながっていなかったので翌日、創り手のところへ向かうことに。

創り手は伝説的な日本人だった。

醸造所(ブルワリー)があるのはタムニングというエリアで、島一番の繁華街タモンから車で15分程度。こちらのブルワリー、毎週土曜日の午後1時から6時は一般開放しているため、購入、試飲(有料)、見学が可能だ。滞在中、運よく土曜日に当たればぶらーっと訪れてもOK!(ただし、未成年の21歳未満は入場禁止)

…あれ?扉に書かれた文字にローマ字的な雰囲気を感じないだろうか。

そう、Made in Guamのクラフトビール、MINAGOFを創っているのはイシイさんという日本人。Toshiさんこと石井敏之さんなのだ。

奥に見えるのが醸造設備。ご覧のようにかなり小さな規模で運営している。実はこのToshiさん、日本やアメリカやイギリスのクラフトビールマニアで知らない人がいないほどの有名人。今や全米で5000社もあるブルワリーの中で9位のStone Brewing Co。20年前、創業間もないStoneでみっちり修行を積み、その後、長野のヤッホーブルーイングでのCOO兼Brewmaster歴任を経て、2010年にグアムで独立した人物なのだ。

これがToshiさんこだわりのスモークドポーター(5.5%。泡多め)。これは「黒ビールってどれも同じでしょ?」と思っている人にぜひ飲んで欲しい一杯。ピート(泥炭)モルトを使っているため独特なピート香が鼻腔をくすぐる。一口飲むと苦みと酸味、そしてモルトの甘味、全てが感じられてとても奥行きがある…そんな御託を抜きにして「美味い!」と唸りたくなる重厚な一杯だ。

 

さて、モノが行き交う時代、なぜMINAGOFは日本で飲めないのか?Toshiさんに聞いてみた。

「どうしてグアムでしか飲めないのですか?」

「ビールは農産物、生モノです。飲みたかったらビールに無理をさせるのではなく、人の方が動くべきなんです」

なるほど、そんな哲学があったとは。ところが、理由はそれに留まらない。

「USAブルワリーメンバーとして、グアム観光の架け橋になりたい、という思いもありますね。Made in Guamのビールがあるなら行ってみよう、と来てくれる人がいたら島の観光経済に貢献することになります。“MINAGOFを飲みにグアムに来た!”という人が増えればこの上なく嬉しいことです」

その言葉を裏付けるように、ブルワリーの壁にはビールを飲みにやって来た訪問者(日米韓露豪NZ/ASEAN)のメッセージがズラリ。

Toshiさんは最後にこう話す。

「MINAGOFの良さはグアムで飲まないと伝わりません。だから、この島で味わって欲しい。お待ちしています!」

 

MINAGOFは島内14の飲食店で味わえるほか、タモンの2つのサークルKとJPミニマートではボトル(32oz、ペールエールとIPA)が購入可。ブルワリーでは5種類どれでも買うことができる。

“ビールを飲みにグアムに来た!”はさすがにハードルが高くても、グアムへ行く機会がある人はMade in Guamのクラフトビール、MINAGOFで乾杯してみてはいかがだろうか?

 

 

 

ISHII BREWING CO.

http://www.ishiibrew.com/

MINAGOFが飲めるお店を示した島内MAPもこちらで

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(執筆者: tatsuhiro1014) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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