野球の夏が来た!『実況パワフルプロ野球2012』PS3/PSVITA版をプレイレビュー
ガジェット通信 / 2012年8月17日 21時0分
日本の野球ゲームの代名詞と言っても過言ではない、"パワプロ"。最近では、日本シリーズのスポンサーまで務めるコナミの看板タイトルだ。7月19日、その“パワプロ”シリーズの最新作となる『実況パワフルプロ野球2012』がリリースされた。
ここ数年来、野球人気の低下が叫ばれて久しいが、その反面で、球場に足を運んでもらえるように各球団のファンサービスは充実の一途を辿っている。では、今作『実況パワフルプロ野球2012』はどうだろうか?
結論、“野球の体現”というゲームとしての根幹をしっかりと保ちつつ、今までにない遊び方をしっかりと用意してくれていた。
●野球ゲームとしての魅力
筆者がパワプロに触れるのはもう数年来のことになる。
思えば小学生の時に、親に泣きついて初めて買ってもらったソフトが初代パワプロだった。それ以後も、友人宅でプレイする機会はあったが、ここ数年はどうしてか縁遠いものとなっていた。
久々にプレイした印象としては、現在のプロ野球をしっかりと表現しつつ、爽快感は失われていないと感じた。
統一球の導入によって、"飛ばない""ホームランが出ない"ようになっているのが現在のプロ野球だが、ゲーム内では、それを程良く感じさせてくれる仕上がりだ。
「あれ?昔の感覚なら、ホームランになってもおかしくないのになあ」
そんな風に首を傾げつつも、きちんとミートすればしっかりと飛んでいく、絶妙なバランスとなっている。
また、そのバランスの良さを後押ししてくれるのが、テンポの早さだ。
たとえば、外野フライを打ったとして、打球が外野手のグラブにおさまる。すると、タッチアップの機会等でなければ、無駄な演出なしに即座に次打者へのシーンに切り替わる。ゲーム内で頻繁にあるシーンなので、このあたりの配慮がされていることで、プレイを気持ちよくさせてくれる。
ちなみにここ最近の作品ではミートカーソルのロックオン機能が搭載されており、ある程度の打撃補正を自動でかけてくれる。
補正の強度は段階的に調節出来るようになっているので、初心者だとてんで打てないなんてことのないように、フレンドリーさも確保されている。
●パワプロといえば、やはりサクセス
変わることのないサクセスモードのオープニングテーマ。これを聴くだけで、パワプロ経験者ならテンションが上がるというものだ。
サクセスモードを知らない方のために、簡単に説明すると、オリジナル選手の育成モードといったところだ。
しかしながら、パラメータの数値を振り分けていくといった単純なものではない。
野球ゲームでありながらも、テキストアドベンチャー仕立てのストーリーが用意されており、日々の練習、各種イベント、そして、試合を経ることで、個性豊かなオリジナル選手を育て上げることが出来る。
運要素が強い部分はあるが、育成理論を組み立てて、安定的な育成をすることも可能だ。
心折られるイベントも多々あるが、それでもなおのめり込んでしまうやりこみ度の高いモードだ。
今作では大学野球編となっており、最終的には3つの大学のストーリーが選べるようになる。
バイト・恋愛・サークル活動といった、大学生活の要素をバランス良く取りこんだ「パワフル大学」。
教育大学といった環境ならではの、教育要素を打ち出した「満通万教育大学」。
最後に、野球エリート校として、整った練習環境・厳しい競争が待っている「西強大学」。
育成する選手の能力を見据えると、どの大学も一長一短の部分を持っており、作りたい選手のイメージによって選択は変わってくるだろう。
筆者の感触としては、パワフル大学は豊富なイベントを楽しみつつ、一部に個性を持った選手を育てるのに向いている。(実は、投手育成にはもってこい。なんたって、あの猪狩守との共闘イベントが待っている)
西強大学は、試合での活躍に自信があれば、伸びシロが大いに期待出来る。
そして、大化けが期待できるのが満通万教育大学といったところだろうか。(満通万教育大学の"教育的指導"コマンドはこれまでにない画期的なもの。やりこめばやりこむだけのリターンが狙えるのが特徴だろう)
また、全大学に共通していることとして、育成したオリジナル選手がチームに入ってくることがある。
たとえば、友人をイメージした選手を作ろうとしているときに、過去に作った自分をイメージした選手が入ってきたりすると、思わず笑ってしまう。
「おいおい、自分が出てきて、しかも仲良くなってるよ(笑)」となること必至だろう。
余談かもしれないが、今作のサクセスは難易度が高いと感じた。
過去作では、ある程度やりこめば能力がオールAの選手を作ることが容易だった印象があるが、今作はなかなかにシビアなつくりとなっている。
このあたりは好みが分かれるかもしれないが、個性ある選手を作りたいという考えの人にとっては、逆に丁度良いのではないだろうか。
●パワプロの未来を感じさせるモードが搭載
サクセス以外にも、遊べるモードが豊富に用意されている今作。
1選手になりきって20年というプロ野球人生を辿っていくマイライフや、日本一の栄冠を目指して144試合を戦うペナントモードもパワーアップしている。
もちろん、各ハード同士でのオンライン対戦も完備。PSVITAでは、Wi-Fi環境下でのオンライン対戦・アドホック対戦が可能だ。
上記のおなじみのモードに加えて、今作で新たに用意されたのが、パワスタモードだ。
これは、オンライン専用コンテンツとなっているもので、平たく言うとトレーディングカードゲームとなっている。
これまでのパワプロのサクセスモードで登場した選手たちをカードとして揃え、強化を行いつつ、プレイヤー同士で対戦することができるのだ。
このモードの驚く点は、PS3とPSVITA間での対戦やカードのトレードが可能となっていることだ。
※パワスタはPS3、PS Vita専用のオンラインモードです。
カードゲームだから実現出来たと言ってしまえばそうなのかもしれないが、そのうち、PS3・PSVITA間でオンライン対戦による試合が実現出来てしまうかもしれないと想像するのは自然な流れ。
さらに踏み込めば、PS3・PSVITA間においてクラウド環境が構築されれば、より通信の幅が広がるのではとまで考えてしまう。
たとえば、家庭のPS3で作成した選手やオンラインの対戦結果をPSVITAに同期して、出先のWi-Fi環境下においても、それらを反映したプレイが可能になるといったことだ。(願わくば、購入するソフトはハード間共有で1本になってほしいけど(笑))
そういった意味で、このパワスタモードにパワプロの更なる未来を感じてしまったのは、筆者の強い期待のあらわれである。
●みんな野球しようぜ!
いつの頃からか、スポーツゲームは実名選手を取り扱うようになり、毎年のデータをフィードバックさせるかたちで例年発売されるようになった。その観点で見ると、ある程度の段階まで来ると目新しさを感じにくくなっているのは正直なところだろう。
今作においても、従来の作品と比べて劇的な変化を遂げているといったわけではない。それでもなお、本作は買いであると言いたい。
それは、冒頭にも書いたように、野球ゲームとしての根幹がかなり追求されていると感じたからだ。ずっと手元に置いておきたくなるバランスの良さは、ぜひ手にとって欲しいと言えるレベルだ。
なお、筆者はこのレビューを書くにあたって、PS3・PSVITA版の両方をプレイしたが、大画面で遊べるかどうかを除いては両者に差はないだろう。
むしろ、PSVITAでの操作感は非常に快適であり、有機ELで表現される画面精度は携帯機を感じさせない。
簡単にON/OFFが出来ることを考慮すると、ゲーム性にもマッチしており、両ハードを持っている人にはぜひともPSVITA版をおススメしたい。
いよいよ夏の野球シーズンが到来した今、みんな野球しようぜ!
<製品概要>
■『実況パワフルプロ野球2012』
■発売日 2012年7月19日
■対応機種 PS3/PSP/PS VITA
■希望小売価格(税込)
PS3:6980円
PS VITA:6480円(ダウンロード5980円)
PSP:5250円(ダウンロード4780円)
■ジャンル 野球・育成
■発売元 コナミデジタルエンタテインメント
■公式サイト http://www.konami.jp/pawa/2012/
(社)日本野球機構承認 NPB BIS プロ野球公式記録使用 プロ野球フランチャイズ球場公認
ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2011年プロ野球ペナントシーズン中のデータを基に制作しています。
(C)Konami Digital Entertainment
(ゲームレビュアー:モリ君)
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