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【特集】「まるで香港映画!」詠春拳修行中のライターが新作『バーチャファイター』アキラの体術を徹底解説

Game*Spark / 2025年1月12日 21時0分

格闘ゲーム『バーチャファイター』の新作プロジェクト『New VIRTUA FIGHTER Project』のコンセプト動画が大きな話題を呼んでいます。


それまでの「攻撃をブロックする動作」とは一線を画す、「攻撃を受け流す動作」が精緻に再現されています。それは単純な打撃だけではなく、その後の掴みや組み付きも想定した動きに仕上がっています。まるで香港映画を観ているような感覚になってしまうほど。


そして、中国拳法(詠春拳)を修行中の筆者から見ても、これは中国拳法の技術でちゃんと説明できる動きだ! と確信できる内容になっています。というわけで今回は、新しく生まれ変わった結城晶(以下アキラ)の体術について解説していきたいと思います。


前蹴りの受け止め方が今までと全然違う!


従来の格ゲーの防御といえば、キャラが両腕を使って顔の前に壁を作るスタイルでした。腕が縦向きなのか横向きなのかという違いはあるにせよ、相手の打撃をガッチリ受け止めた直後の細かいカウンター攻撃というものはあまりありませんでした。


しかし、『New VIRTUA FIGHTER Project』のコンセプト動画には「防御後の攻防」が実装されていることが窺えます。


この動画に登場するのは、服を着たアキラと上半身裸のアキラ。ここでは分かりやすく「着衣アキラ」「半裸アキラ」と呼びたいと思います。


まず筆者が驚いたのは、蹴りの受け止め方。従来の格ゲーであれば両腕で壁を作る防御か、ムエタイのような片足を上げる防御でブロックしていたと思います。それを手刀で斬り下げる動作で、外側に流すように防御している!


こうすることで、半裸アキラは防御直後の攻撃にすぐさま移行することができます。もちろん、着衣アキラものんびりそれを見ているはずはありません。現実の格闘技では、このあたりに「先に打つか、それとも敢えて打たせてやるか」という駆け引きが発生します。


「掴んで下に落とす」動作も


さらに興味深いのが、上の動画の23秒からの攻防。ぜひスロー再生でご覧ください。


半裸アキラが左の裏拳をかまし、それを着衣アキラが左前腕でブロックします。直後、着衣アキラがそのままの体勢を崩さず半裸アキラの裏拳を掴み、彼の腕ごと下に落とします。その動作とほぼ同じタイミングで、着衣アキラが右パンチ!


ところが、攻防はそれだけで終わりません。着衣アキラの右パンチを半裸アキラが右腕でブロック。すると、体勢は下の画像のようになります。


この状態から、着衣アキラが右手を使って半裸アキラの右手を取ります。それを下に落とし、直後に左裏拳! 見事に半裸アキラの顔面をぶちのめしました。


この動き、香港映画ではよく見かけると思います。詠春拳を始めとした中国南派武術のそれと、まったく同じ理論のアクションです。相手の腕を掴むことが禁じられているボクシングには、このような攻防はまずありません。


それでも詰めが甘いぞアキラ!


ただ、筆者から見れば上の攻防での着衣アキラには詰めの甘い部分があります。半裸アキラの腕を掴んで下に落とした直後、すぐにそれを離してしまったからです。


結果として着衣アキラは半裸アキラの両腕を掴んだはずですが、もし最後まで「掴みっぱなし」の状態を維持していたとすると、半裸アキラは以下の画像のような体勢になっていたはず。


相手の腕が体の前でX字になると、その時点で何もできなくなります。手錠で拘束されているようなものです。着衣アキラが最後まで掴み続けることを意識していれば、半裸アキラを戦闘不能に追い込むことができたかもしれません。


「手首の動き」に注目



今後も新しい動画の公開が待ち望まれる新作『バーチャファイター』ですが、注目すべきはキャラクターの手首の動きではないでしょうか。


中国拳法や西洋剣術において、最も重要視されるのは「手首の柔軟さ」。もしも手首が固いと、接近時の細かい組み合いで不利を強いられてしまいます。相手の腕や手首を即座に掴むためには、あらゆる角度に手首を回せるくらいの柔軟さが必要です。


そして、これが理解できると「武術や拳法にゴリゴリの筋力は必要ない」ということも分かってきます。


詠春拳ゆかりの地・中国広東省の仏山市


詠春拳の創始者は、男性ではなく女性という伝説があります。あくまでも言い伝えではありますが、最大限のパワーを込めたパンチやガチガチのガードを使わず、パリィとカウンター攻撃で相手を追い詰める戦い方は確かに女性のものかもしれません。余計な力を使うことを忌避し、脱力状態からある一瞬だけ力を入れる体の使い方も、パワーで押し切る筋骨隆々の男にはできない発想です。


今はまだ「開発前」


ここで、注意すべき点が一つ。


今回取り上げた動画は、あくまでもコンセプトを紹介するための動画であるという点です。既に開発されて配信を間近に控えている作品の紹介動画……というわけでは全くありません。したがって、ここまで取り上げたアキラが「本当にこのような動きになるのか」ということについてはまだ未知数。


ですが、それを加味したとしても「新世代の格ゲーの在り方」を予感させる素晴らしい動画であることに違いはありません。テクノロジーの進歩は格闘技をより精緻により正確に再現するようになり、我々に新しい発見をもたらしてくれるようです。



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