[プリンスリーグ東海]地元・福岡の東福岡日本一に刺激、清水桜が丘FW信末「選手権は静岡、全国を獲れるように」
ゲキサカ / 2014年9月1日 8時30分
[8.30 高円宮杯プリンスリーグ東海第10節 清水桜が丘高 2-1 中京大中京高 草薙球]
九州の福岡から、サッカー王国・静岡での挑戦を選んだストライカーだ。現在プリンスリーグ東海の得点王を争う清水桜が丘高FW信末悠汰(3年)は前へ、前への姿勢を貫いて、中京大中京高守備陣に何度もアタック。ボールを持てば愚直なまでに縦へ仕掛け、特に守備面では最前線から必死の形相でDFへのアプローチを繰り返し、体力が尽きるまで走りぬいた。
相手にペースを握られていた前半には右スローインから強引にCBの懐へ潜り込んで、馬力十分の突破で前進して右足を振りぬく。試合の空気を1プレーで変えたFWは直後にも縦パスで抜け出すと強烈な右足シュートを打ちこんだ。縦パスだけでなく、クリアボール全てに集中し、スプリントを繰り返した。特に後半は数的不利に加えてリードされた状況。その中で献身的に走り続けたFWは同点に追いついた直後の後半30分、右サイドを一気に縦へ抜け出す。そして「シュートを打とうかなと思ったんですけど、金山がいたので出した方が確率が高い」とラストパスを選択。これをファーサイドのMF金山晃典が右足で叩き込み、信末は決勝アシストという形でもチームの勝利に貢献した。
「自分の良さは前に行くこと。がむしゃらに、泥臭く、とにかく前に行ってDFが嫌がるようなストライカーになりたい。DFがいてもDFの前に入っていたり、まず前に行く」という武器を持つストライカー。中学時代にナショナルトレセンU-14メンバーにも選出されている注目FWは中学卒業時、九州の名門校ではなく、静岡の伝統校への進学を決断した。「ずっと福岡でやっているから、福岡ではみんなに知られている。でもこういう誰も知らないところで挑戦してみて、親元から離れてどれだけ自分が挑戦できるか試したかった。厳しい道に行こうと思いました」。チームのために走ることを欠かさず、攻守両面で相手の脅威となるFWは静岡の名門で下級生時からレギュラーを掴み、そして最後の冬に選手権に出場することだけを目指している。
この夏は刺激になることもあった。それは地元・福岡の東福岡高が全国高校総体で優勝したことだ。東福岡は一時進学も考えていたというチームで、主将のU-18日本代表MF中島賢星や全国舞台で大ブレイクしたMF増山朝陽ら中学時代からの知り合いは多数。「全国優勝して中島に『おめでとう』と言ってあげたけれど、彼は『優勝したけれどすっきりしないと言っていました。キャプテンとしてやるべきことができなかった』と。自分にとってヒガシの優勝は嬉しいという思いもあるんですけど、悔しい。選手権はこの静岡、そして全国を獲れるようにこれから頑張っていきたい。中島とは『全国でやろうとな』と言いました」。夏の全国王者と選手権で日本一を懸けて戦い、地元のチームを打ち砕く。その目標がある。
総体予選では優勝候補筆頭に挙げられながら、決勝で東海大翔洋高に敗れて全国舞台に立つことができなかった。「自分たちの気の緩み。(準決勝の)藤枝東戦は全員でやるべきことを徹底できた。でも(決勝の東海大)翔洋になったら、自分たちのやるべきこと忘れてしまって、相手のペースにはまってしまった。あの負けがあったから、きょうもしっかりやるという徹底することができた」。プリンスリーグ東海で1試合1試合成長しながら選手権へ。総体予選敗退の悔しさ、そして地元の東福岡が日本一となったという悔しさも胸に信末は自身の武器を最大限発揮して戦い、静岡での挑戦を最高の形で締めくくる。
(取材・文 吉田太郎)
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