ゲキサカ特別インタビュー『岡田武史ブラジルW杯観戦記』後編
ゲキサカ / 2014年9月19日 10時26分
GKも目立った大会だった。大会前から言っていたことだが、GKが落ちるチームは勝てないようになっている。特にクロスボールに出られないGKはもうアウト。だから、イタリアはジャンルイジ・ブッフォン、ブラジルはジュリオ・セーザル、スペインはイケル・カシージャスが使われるようなら、先行きは暗いと予想していた。クロスに出られないGKを持つと、ディフェンスラインはどうしても下がってしまう。チームの戦い方を後ろ向きに引っ張ってしまうのだ。
ドイツはそこにノイアーがいた。ドイツの優勝を振り返ったとき、このGKの功績は計り知れない。GKでありながらメッシと変わらない、といえば大げさだが、それくらいの運動量がある。アルジェリア戦なんかノイアーのおかげで並のGKなら1対1になる場面を5回は未然に防いでいた。
GKの守備範囲が広いドイツは、おのずとディフェンスラインを高い位置に置ける。だから前からボールを取りに行ける。ボールの争奪に関して先手が取れるから、自分たちのリズムを先につくりやすい。それがドイツの強さの基調になっている。ノイアーの影響力はみんなが思っている以上に大きい。
大国とそれ以外の国々の差は確実に縮まっている。しかし、今回も4強に残ったのはドイツ、オランダ、ブラジル、アルゼンチンというサッカー大国だった。これは最後の最後のところに来ると、国としての経験値がモノをいうことを教えている。
キャンプの期間を含めて1か月半もチームとして過ごすことになれば、チームの内外でさまざまな軋轢が生じる。モチベーションの維持だけでも大変な作業だろう。大国、強国と呼ばれる国は、そのあたりのチーム管理のノウハウを国として蓄積させているのだと思う。階段を一歩ずつ上がって、日本も着実にそういう術を身の内にしていくしかない。
そのためにも今回の敗戦を正しく分析して、これから進むべき道を過(あやま)たないことが大切になる。
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