[選手権予選]城福監督弟指揮する甲府流の3バック導入、守備の土台できた仙台育英が7発勝利:宮城
ゲキサカ / 2014年10月28日 18時0分
総体予選でもベスト8へ進出している富谷はこの日、ベンチから「つなげ!」の声。高い位置でボールを失うシーンもあったが、できるだけ自分たちの取り組んできたことを表現しようとしていた。対する仙台育英は1分にMF赤間善門(3年)の左足シュートがゴールを襲ったが、富谷は9分に相手の連係ミスを突いたFW松本渉(2年)が抜け出して決定的な右足シュートを放つ。ただ、その後は仙台育英がゲームを支配。熊谷と183cmCB加藤陽介主将(3年)の両ストッパーが空中戦をことごとく跳ね返し、縦へ入ってくるボールも出足のいい守りでインターセプトしていく。またDF石川智(3年)に代わって先発起用された1年生DF三浦健太もカバーリング良く相手の攻撃を消していた。仙台育英は加えて、指揮官が「きょうあの2人の守備は良かったなと思いますね」という赤間とMF志村大海(3年)の両ボランチが相手に前に出られても潰すまで追いかけ回してチャンスの芽を摘んでしまう。
そして仙台育英は守備の安定によってより効果を発揮しているサイド攻撃からゴールを連発する。10分に左MF下河原琢未(3年)のクロスを志村が頭で合わせると、12分にはMF佐藤翔太(3年)の右足FKがゴールを襲う。そして14分、下河原が右サイドから放った左足FKがゴールを破り、仙台育英が先制した。仙台育英はさらに熊谷が豪快な攻撃参加からワンツーで縦へ切れ込んだほか、両サイドでアップダウンを繰り返す右MF鈴木健太(3年)と下河原がクロスを連発。25分には左サイドを切れ込んだMF小畑広大(3年)の折り返しを鈴木が決めて2-0とした。
富谷は27分にクリアボールでディフェンスラインと入れ替わったMF荒井友希(3年)が抜け出したがオフサイドの判定。逆に仙台育英は34分、下河原の右CKをファーサイドの加藤がパワフルなヘディングシュートで叩き込んで3-0とした。仙台育英は後半も期待の2年生FW櫻井敬正や佐藤がゴールを奪うなど4点を追加。富谷は後半、10番MF関裕之が最終ラインに入り、MF菅野広稀や右SB鈴木聡太(ともに3年)が必死にゴールを目指すなど諦めない戦いを見せたが、仙台育英の3バックを切り崩すことはできず、無得点での敗退が決まった。
仙台育英は3バック導入に伴い、マンツーマンで守るシーンが増えた。そのために個々の運動量が増えているが、熊谷は「カバーいるんでその分、インターセプトがもっとやりやすくなるし、カバーいるので思い切って勝負できるのでそれはやりやすい。ここまで来たら楽に勝てないと思うので、もっとチームで団結して勝って行きたいです」。城福監督は初戦が行われた前日、チームに今大会のテーマを話したという。「人任せにするなよと。正しいことをやり続けようねと。正しいことって人のために汗をかけることをやり続ける。人のために汗を流すことは人を感動させる。勝ちたい、勝ちたい、負けたらどうしようと言う気持ちが失敗を招くと思った。こんだけ頑張ったけれど世の中負けることもあるから、人のためにやり続けて結果を問うという事がテーマと言っているんですよ。そういうことをやり続けましょうと。勝負は分からないじゃないですか。それをやり続けるチームであるかどうか。それをやって行こうと伝えました」。人のために走り続ける。その意識を再確認した選手たちはポジショニングの精度が向上し、無駄なファウル減ったという。この日も警告はゼロ。3バック導入後に台頭してきた鈴木は「育英のメンバーは25人が個性派でタレントもそろっている。誰が出ても自信もってできるというところが強み。宮城県で一番強いと言うところを(新人戦、総体予選に続く)3冠獲ってみせたいと思います」と誓った。新たな挑戦で新たな選手が台頭してきた。総体以上のチームとなった仙台育英が全国切符をつかむ。
[写真]前半14分、仙台育英は下河原が左足FKを決める
(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
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