1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. サッカー

世界最高峰スペインフットサルリーグで指揮を執る日本人監督 鈴木隆二(後編)

ゲキサカ / 2014年11月14日 9時37分

「結局、シーズンは前期、後期あって、対戦相手も自分たちも、いろいろ変わるんですよね。1試合1試合いろいろな状況がある中で、途中で投げるやつが敗者なんです。結果的に、試合に勝つ、負けるではなくて。だから、絶対にあきらめない。競争する意識とあきらめない姿勢のある奴だけが、結果を手にする権利を、少し得られるんです」

 アレビンを指導していた当時、印象的な試合がある。その試合、チームは0-3で負けていた。ハーフタイムには、ロッカールームで泣き出す子供もいたという。その子供に対して鈴木は「試合中だから、オレの前で泣くな。泣き止めないなら、お母さんの前で泣きなさい」と諭した。子供は反論した。「審判もミスばかりだし、チームメイトからもパスが来ない」。実際に、その子が不満を持つ状況でもあった。「分かるよ」と言ってから、鈴木は「でも、そのメンタリティが試合に生きるのか? 苛立ってプレーして、おまえの体は動くのか? 良い判断ができるのか? 試合に役立つのか? オレは役に立たないと思う。あと2分やるから、切り替えろ。切り替えられないなら、試合に出なくていい」と告げた。その子は気持ちを切り替えて、しっかりと鈴木の指示に耳を傾けた。後半、チームは彼とともに蘇り、逆転勝利を収めた。

 鈴木は、どの試合でも3つのことを選手たちに要求する。1つは、相手選手と競争すること。2つ目は、常に前向きな姿勢でいること。そして3つ目は、味方と連係すること。この3本柱は、マルトレイというクラブのフィロソフィーであり、指導者・鈴木の支柱でもある。

 スペインリーグ史上初の日本人監督となった鈴木は、壮大な目標を持っている。それは「日本の団体ボール競技を世界トップクラスにすること」であり、「僕はフットサルの人間なので、フットサルを通して、そういう目標を実現させたい」と話す。実際、鈴木はハンドボールやバスケットボールといった他の球技を参考にして、フットサルの指導に役立てているという。

 たとえば、手でボールを扱い得点がサッカーやフットサルよりも多く決まるバスケットボールでは、どういう狙いを持った攻撃なのか、何人で崩しに行こうとしているかなど、さまざまな現象が把握しやすい。その現象から多くの刺激を受け、戦術や練習メニューを考えることができるという。実際、昨シーズンからバイエルンで指揮を執っているジュゼップ・グアルディオラ監督も、バルセロナを率いていた当時は、バスケットボール、ハンドボール、フットサルという他セクションに顔を出して、さまざまなアイディアを得ていた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください