小6の誓いから10年…東京V育ちの端山と杉本、重ならなかった2人の道
ゲキサカ / 2015年8月28日 12時24分
いつかピッチで再会するときが来たら……。2人はどんな顔で握手を交わすだろう。その時を想像した端山は「泣くでしょ」と言い、杉本は「超嬉しいでしょ」と笑い、まだ見ぬ未来へ思いを馳せた。
慶應義塾大MF端山豪(4年=東京Vユース)の来季アルビレックス新潟内定が28日に発表された。東京Vユースで育った端山だが、古巣へ戻ることは選ばずに新天地となる新潟での挑戦を決断した。
東京Vで育った端山にとって、MF杉本竜士(東京V)は親友といえる存在だ。ピッチ上では熱く激しさをみせる2人だが、実際には冷静な目を持っており、“やんちゃ”ではなく、賢さがある。似通った2人の出会いは小学校6年生の時。今から10年前にさかのぼる。
東京Vジュニアに所属していた端山はトレセンで杉本に出会い、「俺らの代でヴェルディで全国制覇しよう!」と、府ロクSCに所属していた杉本を誘った。この言葉を受けた杉本は強くうなずき、東京Vジュニアユースへ進むことを決めた。
東京Vで日本一になる。その夢は約束から6年後の高校3年生の夏、全日本クラブユース選手権優勝で果たされる。主将としてチームを率いた杉本は「あいつがいなかったら、俺はここにいなかった」と言い、「豪が一緒に全国取ろうぜって言ってくれたから、今ヴェルディで日本一になれた」と端山への感謝を語ると涙した。
しかし、当時の端山は腰の故障から復帰したばかり。出場時間も短い中での優勝に物足りなさげな表情を浮かべ、「俺は全然何もしてないからね。これじゃ約束が違うから」とどこか寂しい笑顔をみせていた。
その後、端山はクラブからトップ昇格の打診を受けるよりも先に大学進学を決断。杉本はFW南秀仁(東京V)やDF田中貴大(浦安)、DF舘野俊祐(松江)とともにトップ昇格を内定させた。当時のことを端山は「トップの練習に参加する中で大学に行くべきと判断したし、高校ではケガとかもあって、自信の根拠となる実績をつくれなかったから。もし、活躍して自信がついていたら状況は違ったかも」と振り返る。
互いの進路も決まり、季節は冬に。共に戦う最後の大会となった2011年12月11日の高円宮杯プレミアリーグイースト最終節。勝てば優勝でチャンピオンシップ進出だった東京Vユースは、最下位・三菱養和SCユースにまさかの0-1で敗れ、最後の試合を終えた。
プレミアリーグの初代王者を目指すと意気込む中でのまさかの幕切れ。試合終了と共に杉本は泣き崩れた。「もっとこのメンバーでできれば……」と主将としての責任に押しつぶされそうだった杉本を横で支えたのは端山だった。この試合でメンバー外だったMFは、フル出場した親友を黙って励ましていた。チームが勝ち上がれば、2人揃ってプレーする可能性はあったが、実現せず。東京Vユースでのラストゲームは終わった。
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