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愛媛を契約満了…慶大へ戻ったMF近藤貫太、人間教育の場で“1年生”からの再スタート

ゲキサカ / 2016年5月16日 22時28分

 とはいえ大学では3年生だが、ソッカー部内では“一年生からやり直す”というのに加え、Cチームからスタートという条件付き。指揮官は「上手いのは当たり前。サッカーがどうだとかではなく、期間は決めていないけど、Cチームでどう行動するか見ている」と言う。

 Cチームの指揮を取る福士徳文コーチに対して、「よく話して、人間教育をしてくれ」と頼んでいる。現在は1年生とともに仕事をこなし、加えてクラブハウス内のトイレ掃除などの雑務も今の近藤の役割の一つ。淡々と日々の仕事をこなしているようだ。

 Cチームでは下級生とのプレーも多くなるが、かつて慶應のエースだったMFは「皆が真面目なので自分も同じ目線でやっている。AもBもCも変わらず、ただソッカー部の勝利のために自分に与えられた立場で頑張るというだけ」と話した。近藤は今月14日に行われたIリーグの明海大戦にも出場。ハットトリックの大活躍で6-1の勝利に貢献している。ピッチ内外で果たすべき役割は多い。

 ここまでの数ヶ月、近藤の姿勢を見てきた指揮官は「今のところはしっかりやってくれているし、会えばよく話すし、意外と楽しそうにやっている。1年生とも仲良くやっている。そういうものを彼は持っているものがあるのじゃないのかな。人間的にいい青年だからね」と微笑んだ。だがトップチームで近藤がプレーする日がやってくるかどうかは不透明。須田監督は「彼次第だけど、そんなに甘くないし簡単ではない」と語気を強めた。

 近藤自身ももちろんそれは理解している。「それがチームのためになるならそうですけど、今は慶應が勝つためにというのを一番にやっているので。それがCチームだったら、Cチームのためにすればいいし、トップチームだったら、今日のように応援で関われることもあるし」と言う通りだ。あくまでトップチームにこだわらず、慶應義塾大ソッカー部全体にいかに貢献するかを念頭に置いているようだ。

 ハングリー精神の塊のようだったかつての姿とは、また違った近藤の姿がそこにある。「自分で言うのは変ですけど、試合に出てサッカーをするというところとは別で、組織の一員としてという気持ちの変化というか、そういうものは自分でも感じていますし、周りも感じてくれているといいなと思います」と恥ずかしそうに話した。

「戻してくれたチームへの感謝を感じていますし、信頼関係を築いていかないといけない」。そう話した近藤は、再びJリーグを目指すのか?という質問に少し考えてから口を開いた。「サッカーをやっている以上、後々は考えていきたいとは思っています。でも今はそこにいくのがゴールではなく、慶應のために戦った結果、そういうことがついてきたら、その時に考えたいです。今は慶應の勝利のために何ができるかということだけ考えて日々やっているので」とぶれずに語る。

 今は自らの夢や目標を一旦胸にしまい、組織のために出来ることを最優先にやっている。それは決して屈辱的なことではなく、必ず未来につながっていく。誰かのために一所懸命になる日々はいつか自分に返ってくる。慶應義塾大ソッカー部トップチームの一員として、再びプレーしたとき、かつては見えていなかった景色、仲間の顔がそこにあるはずだ。

(取材・文 片岡涼)●第90回関東大学1部L特集

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