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[総体]周囲のイメージ変えた「強い」慶應義塾、激戦区・神奈川突破して全国初出場!

ゲキサカ / 2016年6月19日 8時47分

 その慶應は後半開始から右足に負傷を抱えるMF柿沼亮祐主将(3年)と大型FW板倉正明(3年)を同時投入。すると、6分にビッグプレーでスコアが動く。左タッチライン際の攻防から平田がボールを柿沼に預けると、一瞬前を向いた川崎F U-15出身のレフティーが左足で超ロングシュート。「偵察ビデオ見てGKが前に出るのは知っていたのでチャンスあればと狙っていた。あのタイミングで打つことができました」という柿沼の一撃はGKの頭上を越えてそのままゴールネットを揺らす。“古巣”のホームスタジアムで決めたスーパーゴール。会場中がどよめいた衝撃ゴールによって慶應が同点に追いついた。

 流れは慶應。柿沼が「前半は前から行けてなさ過ぎて相手に前へ簡単につけられてしまっていた。後半は前からゴールキック繋げさせないとか、セットプレーごとに蹴らせる感じにしたのでセカンドボール拾えて、自分たちの時間が増えたと思います」と説明したように、後半は持ち前の前から行く姿勢を強めた慶應の前に湘南工科はミスの数が増えてしまう。湘南工科はハイサイドを取るシーンもあったが、1対1で強さを発揮するSB竹原優(3年)やCB酒井に阻まれて攻め切ることができない。酒井の相手を3度追い、4度追いするような圧巻プレーもあって士気を高めた慶應は、主導権を握って攻め続ける。ボールを奪いに来るDFを巧みにかわしてボールを運ぶ柿沼や平田、MF武田聖基(3年)を軸に攻めた慶應は33分に板倉が抜け出して決定的なシュート。だがGK尻無浜竜太(2年)に止められたほか、守備範囲広いCB小笠原由多(3年)とCB米澤哲哉主将(3年)を中心とした湘南工科の守りは非常に堅く、慶應は勝ち越すことができない。

 逆に後半終盤は湘南工科にチャンス。右SB齋藤翔太(3年)の突破から脇坂が落としたボールをMF安藤拓海(3年)が右足で狙い、アディショナルタイムには春木の超ロングシュートがゴールマウスを弾いた。延長戦では互いにPAでチャンスを迎える。特に足を攣らせる選手が出た慶應は相手エースの脇坂に決定打を放たれるシーンがあったが、大方監督が「向こうには速くて上手い子がいっぱいいるんで。(ボールを)持っていてもずっとヒヤヒヤしていましたけれど、そういう巧いチームだということは分かっていた。ウチも最後体張ったり良くやってくれた。最後は攣っている奴も何人もいましたし、良くやってくれたと思います」と評した気迫の守りで乗り越えて100分間を終了。そしてPK戦を経て歓喜の瞬間を迎えた。

 初の全国大会へ向けて大方貴裕監督は「全国制覇が目標なので、『初挑戦でお邪魔させて頂きます』ということではなくて良さをどんどん出していければいいかなと思います。(出したい部分は)前に、前に行くところですね。守備も攻撃も奪って速くゴール前へ。奪われたら速く奪い返すことができたら。その中できちっとカウンターの対応とかしっかり準備して臨みたいと思います」と語り、柿沼は「厳しい中でも全員が気持ち合わせて勝てたと思う。それは継続して次は個々の精度を上げたい。全国では一戦一戦しっかり戦って頂点目指したい」。歴史を変えたチームはブレることなく、「全国制覇」の目標に全力で挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
【特設ページ】高校総体2016

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