[MOM387]日本体育大FW太田修介(3年)_警告覚悟の『I play for 小佐野一輝“ありがとう”』
ゲキサカ / 2016年8月9日 21時39分
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.7 総理大臣杯1回戦延期分 日本体育大4-1大阪学院大]
警告をもらう覚悟はできていたという。それでも伝えたい想いがあった。途中出場でピッチに飛び出してから12分後。1-1の均衡を破る勝ち越しゴールを挙げた男は、ゴール裏でカメラを構えていた仲間の元へ走り寄ると、ファインダーに向かってユニフォームをまくり上げる。アンダーシャツに書かれていたのは「I play for 小佐野一輝“ありがとう”」の文字。それは天国に旅立ったばかりの、亡き恩師へ向けたメッセージだった。
前日の「落雷を伴う天候理由」で一部の試合が延期となった総理大臣杯。日本体育大も大阪学院大との初戦が1日ずれ込み、気温も35度近い7日の11時に初戦のキックオフを迎えた。
前半14分にMF渡邊龍(2年=FC東京U-18)が先制点をマークしたが、42分に同点弾を許すと、以降は一進一退の時間が続く。鈴木政一監督が2人目の交替を決断したのは後半23分。「ここに来て動き出すタイミングが良くなってきた」というFW太田修介(3年=甲府U-18)を最前線に送り込む。
すると、この山梨県産のストライカーが大爆発。後半35分に「背後への飛び出しというのは普段から練習している形」というその形から左サイドを抜け出し、中へ潜りながらゴール右隅へ勝ち越し弾を突き刺すと、37分にも思い切りの良いシュートで自身2点目を記録。さらに43分にはロングフィードに反応し、そのままGKとの1対1も制してハットトリックを達成。
鈴木監督に「僕もビックリするくらいの出来ですよ。なあ、太田!」とからかわれ、苦笑いしながら恐縮していた太田だが、8分間でのハットトリックがこの日のチームを救ったのは改めて言うまでもない。
「今日は『絶対にやってやろう』という気持ちが強かった」と話した太田には、期する想いがあった。先月のこと。1年近い闘病生活を送っていた、甲府U-18時代の指揮官に当たる小佐野一輝さんが、38歳の若さでこの世を去ってしまう。
「もう小佐野さんは喋れなかったんですけど、亡くなる前にもギリギリでお会いできたんです。でも、甲府から帰ってきて2日後ぐらいに亡くなってしまって… お通夜にも参列してきました」。ジュニアユース時代にも指導を受けていた恩師の急逝に平常心を保つことは難しかった。「その直後に明治学院大との天皇杯予選があったんですけど、ショックで全然良いプレーができなくて…」と自ら振り返ったそのゲームは、チームも延長戦の末に敗退。
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