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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:必要とされるこの場所で(盛岡・八角大智)

ゲキサカ / 2016年8月29日 9時5分

[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:必要とされるこの場所で(盛岡・八角大智)

東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」

 4年間のすべてを捧げてきたエンジのユニフォームも、今日ばかりは倒すべき相手以外の何物でもない。「キックオフの前に並んでいる相手のイレブンを見て、『ああ、自分の環境が変わったんだな』というのは凄く感じました」という感傷も、試合前にはきっちり捨て去った。舞台は天皇杯1回戦。この日、グルージャ盛岡でのデビュー戦をスタメンで迎えることとなった男が対峙するのは、偶然にも昨年まで自らが在籍していた早稲田大学ア式蹴球部。気を許したら溢れ出しそうになる感情を押し殺し、その男はキックオフの笛を聞いた。

 3月31日。ザスパクサツ群馬から1つの“お知らせ”が届く。『この度、ザスパクサツ群馬に所属の八角大智選手につきまして、クラブ側と本人による協議の結果、契約を解除することで合意いたしましたのでお知らせいたします』。早稲田大学からの加入が発表されて約2か月半。2行の“お知らせ”は、「正直色々あった」日々を過ごしていた八角に、所属するチームがなくなったことを意味していた。

「自分がサッカーをやる意味だとか、『これからサッカーを続けていいのか』とか、色々なことを考えていた」中で、救いの手を差し伸べたのは母校だった。楽しいことも辛いことも含め、あらゆる想い出の詰まった人工芝のグラウンドと、勝手知ったるスタッフや後輩たちが、所属チームのない彼を優しく迎え入れてくれる。「それこそ今日戦っていたメンバーと一緒に練習に混ぜてもらって、コンディションを落とさないようにしながら、チームを探しているという状況でした」とその時期を振り返る八角。一度は巣立ったはずの東伏見の地でボールを追い掛けながら、自らと向き合う毎日がスタートする。

 ただ、そんな八角にはあるチームからすぐにオファーが届いていた。「群馬を辞めた時にすぐに声を掛けていただいて、『是非練習参加を』という話をして下さった」のは盛岡だ。監督は昨年まで明治大学を率いていた神川明彦。2年からエンジの名門でレギュラーを掴んでいた八角にとっては、幾度となく対戦してきたライバル校の指揮官でもある。「僕のことを敵の立場ですけど、しっかりと見て下さった監督さんですし、本当に大学時代も実績のある監督さんなので、そういった方に『来て欲しい』という話をしてもらえたことは、自分自身にとって凄く嬉しかったですし、誇りに思うことができた」一方で、それでも「サッカーを続けるのかという所も含めて、せっかくお話を戴いたんですけど、もう少し冷静にしっかり考えたいなという所があった」のも理解できる。即答こそ避けた八角だったが、そのオファーは少し物事に対してネガティブな思考になりがちだった彼に一筋の光をもたらす。そして熟考の日々を潜り抜け、決断の時は訪れた。

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