[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:原点(Honda FC・古橋達弥)
ゲキサカ / 2016年11月10日 15時40分
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」
13年ぶりにHonda FCの選手として戦った天皇杯は、その時と同じ舞台で、その時と同じ相手に敗退を突き付けられた。もちろん悔しさは隠し切れないが、ふとその時の光景がオーバーラップすると、ここまでサッカー選手を続けて来られた感慨も湧き上がってくる。「13年経ってもまだ自分はプレーできていますし、まだまだやれるという気持ちはあるので、そこに関しては自分を褒めてあげたいですね」。古橋達弥。36歳。サッカーへと自らを駆り立てる灯が消える気配は、まだ訪れていない。
「やっぱり“原点”というか、ここで育ってJリーグでプレーできたので、そういう意味では『もう一度このチームへ何か恩返しをしたい』というか、『自分にもできることはあるかな』と思って戻ってきました」という古橋がHonda FCへ“戻って”きたのは2014年。C大阪、山形、湘南と3つのJクラブを渡り歩き、特にC大阪時代の2005年にはJリーグベストイレブンも受賞。一時は日本代表入りも噂されるなど、大きな存在感を示した9年半に及ぶJリーガーとしてのキャリアを経て、古橋は社会人としての第一歩を踏み出した浜松の地へ再び帰還するという決断を下した。
今シーズンはここまでリーグ戦9ゴールと、復帰してからの3シーズンで最も点が取れている。本人も「最近は体の調子も良いですし、特別痛い所もないので、やっぱり自分の中では『まだまだ続けなきゃいけない』と思っています。チームの力になれているので」と自らのパフォーマンスに手応えを感じているようだ。そんなタイミングで巡ってきたのが、FC東京と対峙する天皇杯4回戦。岐阜、松本、盛岡とJリーグ勢を相次いで撃破して掴み取ったJ1クラブへの挑戦権。「今回は中2日なんですよ。JFLに中2日はないですからね」と古橋も笑ったように、日曜日にアウェーの青森でリーグ戦を戦い、そのまま浜松には戻らずに調整を続け、この日のビッグマッチに挑むこととなったHonda FC。確かに厳しいスケジュールではあるものの、「サッカー選手としては試合が多いというのは良いことですからね」と古橋。チームメイトも非常に高いモチベーションで味スタのピッチヘ飛び出した。
立ち上がりからFC東京にボールを握られる展開の中、ワンチャンスを生かして先制すると、そこからHonda FCのきっちりボールを動かすスタイルが顔を覗かせ始める。「蹴っても自分たちはあまり良さが出ないと思いますし、特にJ1相手だと蹴っても、またGKに返されて繋がれるだけというのはわかっていたので、できるだけ繋いでいかないとチャンスは創れないと思っていた」(古橋)というチームは、小気味よくショートパスを繋いで局面を打開するシーンを連発。古橋も1.5列目あたりで縦横無尽に顔を出し、細かいタッチで攻撃にリズムとアクセントを加えていく。45分にはFKのチャンスに、「距離がちょっとあったので自分の位置ではなかったですけど、こういう舞台ですし、思い切って狙いました」と直接ゴールを狙う。左スミを襲ったボールはGKに弾き出され、「ちょっと枠に入っていたかわからないですけど、ゴールに入らなかったら一緒ですね」と本人も笑って振り返ったが、相変わらずの高いキック精度を披露してみせる。
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