[MOM1944]関東一DF石島春輔(3年)_狙うは晴れ舞台でのリベンジ。“カンイチ”が誇る対人無双のCB
ゲキサカ / 2016年11月13日 7時12分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.12 全国高校選手権東京A決勝 関東一高 1-0 成立学園高 駒沢]
大きく蹴り込まれたフィードを、そのCBが弾き返すと直後にタイムアップのホイッスルが鳴った。「本当にもう強気で勇気を持って、我慢するということをテーマに戦いました」と言い切った彼の所に、最後のボールが飛んできたというのがこのゲームを象徴していたように感じた。過去2回は敗れていたファイナルで“3度目の正直”を成し遂げ、悲願の全国切符を手にした関東一高。その戴冠にはこの1年間で飛躍的な成長を遂げた、石島春輔というCBの存在があった。
東京制覇の懸かる選手権予選東京A決勝。関東一と成立学園高は今シーズンだけで3度の公式戦での対戦があり、ここまでは1勝1分け1敗とまったくのイーブン。最終決着を付けるべくピッチヘ飛び出した両雄だが、序盤からペースを握ったのは成立学園。ボールをしっかり繋ぎながら、左右に揺さぶりを掛けつつ、関東一ゴールを窺う時間が続く。それでも、「最初から成立をリスペクトし過ぎて、ちょっと下がった状態の後ろ重心で行ってしまうと、たぶん我慢し切れない」という小野貴裕監督のプランもあり、強気のライン設定を敷いた関東一のディフェンス陣を束ねるのが石島。「持たれることは決して怖くはなかったので想定内」とある程度は割り切りながら、シビアな局面では体を張り続け、前半をスコアレスで乗り切ってみせる。
すると、チームは後半開始早々に林健太のオーバーヘッドで先制。1点を追い掛ける成立学園が圧力を強める中で、鈴木友也と石島のCBコンビを中心とした堅陣は揺るがない。成立学園も後半20分には、関東一に勝利を収めた関東大会予選でゴールを奪った高橋恒樹を投入し、半年前の再現を狙ってきたものの、「関東大会予選は裏でやられてしまったので、そこを一番頭に入れて試合に臨みました」という石島は、明らかに増えた背後へのボールをことごとく強奪。最終盤は長身ストライカーの町田ジェフリーの登場にも、動じることなく零封を達成。小野監督も「今日の石島と鈴木は100点をあげたいと思っています」と最高の評価を口にするパフォーマンスで、同校初となる選手権の全国大会出場を力強く手繰り寄せた。
そんな石島とチームにはターニングポイントとなった試合がある。2年連続の出場となった今年の全国総体で、やはり2年連続で対峙した2回戦の市立船橋高戦。「本当にすべてのレベルが違ってコテンパンにやられた」と石島が振り返った通り、結果的に頂点へと駆け上がるチャンピオンチームを前に、ほとんど攻撃らしい攻撃もできないままに敗れ去った。しかも右SBでスタメン出場していた真瀬拓海と途中出場の太田貴也は、石島にとって中学時代の3年間をJSC CHIBAで共に過ごした同級生であり、決勝ゴールをマークした1年生の郡司篤也は、やはりJSC CHIBAの後輩に当たる。そういう意味でも非常に悔しい一戦だったことは間違いないが、全国のトップレベルを肌で感じたことで石島も含めたチームの目線は確実に一段階も二段階も引き上げられた。
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