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笑われた目標…貫き通した想い、日本文理大FW中山佑樹主将が仲間たちと歩んだ4年間

ゲキサカ / 2016年12月11日 5時29分

2-2の同点弾、応援スタンドの前で全員で喜んだ

[12.7 全日本大学選手権1回戦 専修大3-2日本文理大 味フィ西]

 選手入場。ピッチへ入ってくる日本文理大イレブンの表情は過度な緊張で強張っていた。しかしスタンドの選手たちは、そんなことはお構いなし。大分から東京へ乗り込んできた彼らは肩を組み、声高らかに歌い続ける。いつもと変わらない光景に、イレブンの顔には笑顔が浮かんだ。堅さが一転、“やってやるぞ”という戦士の顔つきに変わっていた。

 かつては九州1部で低迷していた日本文理大。主将を務めるFW中山佑樹(4年=筑紫台高)らが入学した当初は、意識を高く持った選手は少なかったという。現に中山は「プロを目指して、全国でも優勝というめちゃくちゃ高い目標をもって」入学したが、一部の先輩たちからは「何言ってんの? 無理だから」と冷ややかな目線を向けられた。

 全国を目指すと誓って進学したはずが、現実は酷なもの。それでも唯一の救いは、“二浪”で大分U-18から進学してきたMF藤田恭輔(4年=大分U-18)ら同じ志をもつ仲間が同級生にいたということ。それぞれが「なんで俺はここに来たんやろ?」「こんなところ来なければよかった」と不満を抱きつつも、目の前の状況を変えようと共にもがき続けた。何を言われようと、目標を笑われようと、逃げ出すことはしなかった。

 ようやくチームの雰囲気が変わり始めたのは、中山たちが大学3年生になったとき。一学年上の先輩たちは、チームとして上を目指すためにどうすればいいか、下級生の考えに耳を傾けてくれた。以前はトップチームの試合の際、メンバー外となった上級生から「とりあえず応援だるいけん、早く終われ」と陰口を叩かれることもあった。「ホームでの試合があっても、先輩たちはだれも応援してくれないときもありました」。まずはそんな態度を改めていこうと、“全員で戦うチーム”へ変革は始まった。

 3年もの間、中山たちが煮えたぎらせてきた熱い思いは、一気にチーム内へ伝染していった。目標に掲げては笑われた『全国出場』だが、今では「“全国なんか無理やろ”と言ったら、“なんやお前”となるくらいの環境になりました」と話すとおりだ。チーム全体が同じ方向を見つめ、動き出した。昨年の九州リーグは6位で終えたが、中山が主将に就任した今季は2位でフィニッシュ。夏の総理大臣杯に12年ぶりに出場し、13年ぶりとなるインカレ出場も勝ち取った。

 かつてはいくらチームのために戦っても、点を取っても、先輩たちから祝福されることはなかったが、今は違う。インカレ前には中山の元へ、仲間たちから「頑張ってください!」「早く応援いきたいわ」とたくさんの連絡が入った。

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