ゲキつよっ!!vol.5「際立った鹿島の完成度。憲剛はレジェンドの境地へ」
ゲキサカ / 2016年12月31日 11時20分
解説者の元サッカー日本代表・北澤豪氏による新コラム「ゲキつよっ!!」。日本代表からJリーグ、海外サッカー、育成年代、フットサル、障がい者サッカー……、幅広くフットボールに精通する北澤氏が、テレビでは語り切れない魅力を綴っていきます。
鹿島に見た、世界との化学反応
明日行われる天皇杯決勝にも進出し、鹿島アントラーズがまた一歩タイトルへと近づいている。Jリーグチャンピオンシップにはじまり、鹿島の12月の躍進は目を見張るものがある。
日本で開催されたクラブワールドカップでの躍進は、世界に驚きを与えた。それと同時に、世界と戦う機会があればチーム、そして選手は成長できるということを、我々日本人に証明してくれた。
アジア、ヨーロッパ、南米、アフリカ、オセアニア……、サッカーというひとつの競技でも、そこにはフィジカルや戦術の違いがある。いざピッチで対面したときに、どのように順応していくか。それは身をもって体験することでしか培うことはできない。
昌子源選手や植田直通選手ら鹿島の守備陣は、試合の中で順応し、成長している姿を見せてくれた。相手の前線で縦のポジションチェンジがあった時に、鹿島のCBのマークの受け渡しが上手くいかなかった。それならばらと、下がったFWにCBがそのままついて行って、空いてしまったCBのスペースはSBが埋める。守り方を変えて対応していく姿は頼もしく見えた。それは世界で戦うことを目的に考えたら大切なことだ。
「サッカーは守備から」という認識を改めさせてくれた鹿島の活躍だったが、とはいえサッカーは点を取らないと勝てない。鹿島の攻撃陣で光ったのは、柴崎岳選手の存在だ。
あのレアル・マドリーから2ゴールを奪ったのは評価されて然るべき結果だが、ボールを持ったときの彼からは「チャレンジしよう」という意思が感じられた。ドリブル突破を図ったところで、DFにツブされてしまう。次のプレーはどうするのか、と思って見ていたときに、パスを選択するのではなく、もっと速いドリブルで仕掛けていた。
今季はケガで戦列を離れていて、戻ってきてからもくすぶっている印象を否めなかったが、ようやく吹っ切れた印象がある。「クラブW杯をたんなる1試合にしない」。鹿島の10番からは、そんな気概も感じることができた。
「世界に向けた選手育成」という観点が必要だ。たとえば、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)だけでなく、韓国との交流戦をやってみたり。鹿島の活躍は、アジアのチームにも刺激になったと思う。ACLに出られるのは最大で4チームしかない。国内のクラブに所属しながら、選手を成長させる手段が、代表の強化にもつながるはずだ。
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