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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:「ピッチの上で、ピッチの外で、スタンドで」(駒澤大高)

ゲキサカ / 2017年1月8日 21時45分

 ピッチの上で、ピッチの外で、そしてスタンドで。3年生は自らの持ち場で戦っていた。残酷な後半終了間際の逆転ゴールで、駒澤大高の選手権は今回もベスト8で幕を閉じることとなり、ピッチで戦っていたほとんどの3年生も、スタンドで声を嗄らして声援を送り続けたほとんどの3年生も涙を流して悔しがっていたが、きっと下級生は3年生たちの戦う姿を目に焼き付けていたはずだ。「これだけの大人数で3年間しっかりとやって来れたというのは、他では絶対に経験できないことだと思うので、そこに関しては誇りを持ちたいですね」と高橋は言い切った。

 試合が終わって1時間は過ぎていたと思う。チーム全体でのミーティングは終わり、既に解散はしていたものの、3年生たちはなかなかその場から立ち去ることができない。すると、取材対応を終えた高橋が合流し、3年生による“最後のミーティング”が始まった。時折笑い声も起きるような和やかな雰囲気で進んでいくミーティングの中で、キャプテンには驚いたことがあった。「最後はメンバーの30人に向かって応援の選手から『ありがとう』と言われて、自分もビックリしたんですけど、自分たちは応援してもらったからここに来ることができたのに、応援の選手の方から『ここまで連れてきてくれてありがとう』とか『感動するゲームをしてくれてありがとう』とか言ってくれたんです。自分たちメンバーからお礼を言おうとは決めていたんですけど、まず応援のメンバーからお礼を言われたのでビックリしました」。試合に出られないことが悔しくないはずはない。それでもスタンドで3年間の全てを懸けて戦っていたからこそ、素直な感謝の気持ちが沸き上がったのだろう。「将来死ぬ時が来るまで『自分は駒澤で3年間やってきたんだぞ』ということは言い続けたいと思います」と話した高橋は“最後のミーティング”が終わった直後も、溢れてくる涙を抑えることができなかった。

 実は“最後のミーティング”の最中に、ある事件を目撃してしまった。もうミーティングも終盤に差し掛かっていた頃。少し離れた位置で座っていた私の前に、弁当を抱えた1人の駒澤大高の選手がひょっこり現れる。もちろん学年は3年生。カテゴリーで言えば“ピッチの上”で戦っていた選手だ。「どうしてここにいるの?」と尋ねると、「いや、『もう帰るぞ』と言われたからマイクロバスに乗っていたのに、みんな来ないから…」と答える。「あそこでずっと3年生のミーティングやってるよ。急げ、急げ」と私に言われた彼は、こっそりと何事もなかったかのようにミーティングの輪の一番外側に吸い込まれて行った。95人もいる3年生だ。それは色々なヤツがいるだろう。「それにしてもこのタイミングで…」と思わないでもなかったが、せめて最後の写真撮影に間に合っただけでも、まだ運が良かったのかもしれない。

『歌え駒澤愛するなら 決めろ駒澤男なら』。歌った側も、歌われた側も、一生耳に残るであろう印象的な歌声を胸に、3年生は最後にみんな笑顔で写真撮影をして、駒澤大高で戦い続けてきた高校サッカーに別れを告げた。

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務し、Jリーグ中継を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」

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