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父にとって22年目の悲願、青森山田の黒田父子はピッチで抱き合い涙

ゲキサカ / 2017年1月10日 0時52分

黒田剛監督の息子・凱は故障の影響もあり、裏方としてチームを支えた

[1.9 全国高校選手権決勝 青森山田高5-0前橋育英高 埼玉]

 日本一になった瞬間も、メダルを手にした瞬間も、嬉しさはあったが涙は出てこなかった。それでも父と抱き合うと様々な感情が溢れて、涙が止まらなくなった。「父さんには本当にありがとうございましたと伝えたい」。そんな想いでいっぱいだった。

 全国高校選手権の表彰式後、裏方としてチームを支えた青森山田高(青森)のFW黒田凱(3年)は父である黒田剛監督と抱き合うと、「今までありがとう。選手としてピッチに立てなくてごめん……」とつぶやいた。涙する息子の肩を優しく抱いた父も頬を濡らしながら「サポートとか本当にありがとう。大学に行ってからも、しっかり頑張ってくれ」と言葉を送った。わずかな時間だったが互いの思いは痛いほどに通じ合っていた。青森山田は高校選手権で初優勝。黒田監督が率いての22年で未だ達成されていなかった悲願は、息子・凱の代で達成された。

 父が率いる青森山田への進学を決断したのは小学校6年生のとき。当時は母と妹も含め、4人での家族会議が行われた。父からは「息子だからという外からの声がすごくあるけど大丈夫か?」と聞かれたが、小学6年生時に参加した大会で、“黒田監督の息子”として注目された経験があった凱は「マイナスの部分を捉えるのではなくて、ポジティブな考えを持っていれば、父さんの存在があって、逆に取り上げてもらえたり、プラスになることもあるんじゃないかと考えるようになった」と応じた。これを聞いた両親は「そういう気持ちを持っているなら大丈夫」と背中を押してくれたという。

 そして青森山田中から父が監督を務める青森山田高へ。高校3年生となった凱は、有力選手集まるなかでトップチームの一人としてプレーしていた。しかし今夏に相次ぐ大怪我をしてしまい、裏方に回ることを決断。今冬の全国高校選手権では、マネージャーとしてチームを支えた。「小さいときから青森山田を見てきて、ここにいる誰よりも選手権で父さんを優勝監督にしたいという想いは強かった」という一心で仕事に励んだ。

 チームは7年ぶりの決勝へ進出。9日に迎えた前橋育英高との決勝戦には、母と妹も駆けつけ、大舞台を見守っていた。そして5-0の勝利で待望の初優勝。凱はベンチやスタンドではなく、ピッチレベルのコーナー付近で日本一となる瞬間を迎え、仲間たちと喜びを分かち合っていた。

 表彰式後、スタンドなどへの挨拶を終えて、一息ついたところでようやく凱は父と抱き合った。「優勝のメダルをもらったときや、応援団に挨拶にいったときは、嬉しいという気持ちは強かったけれど、涙は出ませんでした。でも最後に戻ってきて、父さんとハグしたときに色々な感情が浮かんできて、そこから涙が止まらなくなって……」。親子は互いに「ありがとう」と口にして涙した。

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