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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:タイガー軍団の『画竜点睛』(前橋育英高FW宮崎鴻)

ゲキサカ / 2017年2月1日 12時5分

前橋育英高のFW宮崎鴻

東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」

 質問を投げ掛けた記者の目をしっかりと見つめ、人懐っこい笑顔を浮かべながら話す姿から隠しようのない育ちの良さが窺えた。身長のことを問われ、「今は185センチですけど、まだ伸びると思います。成長線はありますから」と優しく笑ったストライカーは、しかしひとたびピッチに立つとフィジカル無双の屈強な戦士へ変貌する。宮崎鴻。ジエゴ・コスタに憧れる17歳は、上州のタイガー軍団を悲願へと導くラストピースになる可能性を十分に秘めている。

「彼らは一生忘れないと思いますし、私も一生忘れないと思います。もう1回最初から頑張れということなんじゃないかな」と山田耕介監督が振り返った、衝撃の高校選手権決勝から3週間後。前橋育英高の新チームは県新人戦のファイナルに臨んでいた。最終ラインには松田陸や渡邊泰基、後藤田亘輝、アタッカー陣にも涼と悠の“田部井ブラザーズ“や飯島陸など、青森山田高との一戦をピッチで体験した2年生がズラリと顔を揃える中で、最前線に解き放たれた見慣れない名前が一際存在感を放っていく。「選手権の決勝も応援席で何もできない自分が凄く悔しくて、もう1回あそこに戻っていけるように、これからもっとやらなきゃいけないと思いました」と3週間前を振り返った宮崎にボールが入るとほとんど収まるため、周囲の連動性にも迷いがない。「鴻は本当に体が強いので、鴻に入った後のアクションが一番大事だと思う」と話すのはボランチを務めるキャプテンの田部井涼。立ち上がりのゲームを少し見ただけで、埼玉スタジアム2002の晴れ舞台をスタンドから眺めるしかなかった彼が、新チームの重要な戦力になっていることは一目瞭然だった。

 前半10分。渡邊のロングスローを室井彗佑がヘディングで叩き、DFがライン上でクリアして高く上がったボールを「GKを抑えて触らせないようにして」頭でねじ込み、先制点を自ら奪うと、23分には渡邊のロングスローから直接ゴールを狙い、ここはGKのセーブに阻まれたが決定機を創出してみせる。すると、27分にも田部井涼のFKへ果敢に競り合い、松田が押し込んだ追加点を演出。後半30分にもこの日のスタンドを沸かせ続けた渡邊のロングスローをきっちり落とし、石井陽向のチーム4点目をアシスト。「それだけだと思われたくないのでロングスローは自分的にそんなに投げたくはないんですけど、前に宮崎がいるので…」と苦笑したのは渡邊だが、このホットラインの連携を含めて、宮崎は3ゴールに絡む活躍を披露する。「リスタートでなかなか去年あたりから点が取れていないけど、今日入ったのはコーナーキック絡みとスローインでしょ」と山田監督も言及した通り、渡邊のロングスローと田部井涼のキックを併せたセットプレーは現状でチームの大きな武器に。「前でとにかく基点になって、潰れ役という感じでもっと体をうまく使って収めたいですね」と語る宮崎が持ち味を十分に発揮した前橋育英は、前橋商高との『群馬クラシコ』を制して「県内四冠という目標」(田部井涼)の“一冠目”を堂々と獲得した。

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