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「東京五輪への推薦状」第37回:天然で図太く、スケールも大の市船守護神・長谷川凌

ゲキサカ / 2017年4月3日 19時52分

市立船橋高GK長谷川凌

 2020年東京五輪まであと4年。東京五輪男子サッカー競技への出場資格を持つ1997年生まれ以降の「東京五輪世代」において、代表未招集の注目選手たちをピックアップ

 父はバスケットボール選手、母はバレーボール選手。「高さ」を強く求められる二つのスポーツのハイブリッドな遺伝子を引き継いだ息子は、そのどちらのスポーツも選ぶことなくサッカーの道を歩み始め、やがてゴールの門番という天職を見出すこととなった。その男の名は長谷川凌。市立船橋高の190cm守護神である。

「人に言われてするのが好きじゃないんです」

 両新と異なる道を選んだ理由を問われた長谷川は、そう言って苦笑いを浮かべた。父からはバスケを、母からはバレーを薦められた記憶はある。ただ、「そういう性格みたいです」と、違う道を選んだ。天邪鬼(あまのじゃく)。市立船橋で指導に当たってきた伊藤竜一GKコーチも、入学当初の長谷川について「とにかく頑固で自己主張ばかり。聞く耳を持たないところがあった」と笑って振り返る。

 ある種の欠点ではあるが、角度を変えて見れば「GKとしての長所でもある」(伊藤GKコーチ)。つまり、「主張できない選手はいつまで経っても主張できないが、彼は最初からそこはできた」からで、それはGKにとって不可欠の資質でもある。ただ、コミュニケーション能力は“主張する”一辺倒では成り立たない。伊藤GKコーチは時に叱咤し、時に突き放しつつ、時に我慢もしながら、長谷川に“聞く力”が備わるのを待った。

 昨秋から正GKへ大抜擢を受ける。ポテンシャル的には春先からポジションを奪う可能性も十分にあったのだが、メンタル面の変化を待ってからの起用だった。

「彼の成長にとって、待った時間が良かったのだと思う。以前から能力はあったけれど、失点したら周りのせいにして終わりという選手だった。でもいまは自分にミスがあったと感じたときは、『悪い、いまのは俺のミスだ』と言った上で、『でも次はこうしてくれ』と自分の主張をできるようになった」(伊藤コーチ)

 抜擢されてからは「得意じゃなかった」足元の技術を使ったビルドアップなどを着実に改善させてきており、何よりチームを背負う責任感も出てきた。一方で、資質としか言いようのないモノもあらためて見せている。先日の船橋招待U-18でもそうだったのだが、失点に繋がるミスを冒してあとのプレーの質がまるで落ちないという点だ。優れたGKに欠かせない、“折れない心”というメンタル面の資質である。守護神にあえて厳しい言葉を贈り続ける朝岡隆蔵監督も、その打たれ強さについては「本当に天然で図太い」と舌を巻く。

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