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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:本当の人(岐阜・大木武)

ゲキサカ / 2017年4月19日 20時53分

 この日は『知識、意識、無意識』という話が印象深かった。曰く「これは日本代表のラグビーの中竹(竜二)さんがおっしゃっていたんですけどね。『知識、意識、無意識』と。本当にその通りだと思って。ある意味で今は“知識”を選手に与えている時かもしれないですね。それを“意識”的にやれるようにする、それから今度はそれを“無意識”にできるようにする、という所だと思います」。サッカーにとどまらない示唆に富む大木の会見は、質問をする側がその“示唆”を得られるかどうかという意味でも、常に真剣勝負だと言ってもいいかもしれない。

 昨年の夏。大木がアドバイザーを務めている、チャレンジリーグに所属するバニーズ京都SCの公式戦を取材する機会に恵まれた。試合が始まる1時間ほど前。小学校低学年くらいの子供たち数人が大木の元へ駆け寄ってくる。「オマエら、ゲームばっかりやってないでサッカーしろよ」「え~、ゲーム面白いもん!」「それじゃあ上手くなんねえぞ」。些細なやり取りの中にも確かな関係性が窺えた。聞けばバニーズのサッカースクールに通い、大木の指導を受けている子供たちだという。「大木さんは子供たちに人気があるんですよ」。クラブの広報や運営を一手に引き受けている女性スタッフがそっと教えてくれた。子供たちに受け入れられるということが、決して簡単ではないことは言うまでもないが、彼の指導に人気がある理由はわかる気がする。それが子供であっても、大人であっても、彼は“本当”のことを伝えようとするだけだ。その姿勢はおそらく子供の方がより強く響く。大木はこうも話していた。「今さ、バニーズの中学生の女の子たちを定期的に教えているんだけど、これは楽しいよ。『どんな練習をすればあの子たちが上手くなるかな』って考えたりとか。実際に上手くなってるからね。みんな真剣に練習してくれるしさ」。楽しそうに語るその言葉を聞いた時、「ああ、この人は本当にサッカーが好きなんだな」と実感したことを覚えている。きっとあの日の子供たちは、そして中学生の女の子たちは、今日も楽しくボールを蹴り続けていることだろう。

 4月15日。冒頭で記したように、岐阜は湘南とスペクタクルに撃ち合って、3-3というスコアの末に勝ち点1を得る。湘南の曺貴裁監督は会見で「今のJリーグでは失点が少ないチームが上位に来ますけども、そういった、ただ単にゲームが流れて、失点が少なくて、1-0で勝っていく試合よりは、2-1、3-2、4-3みたいな試合が全体的に増えていく方がサッカー界というか、サッカーの面白味が増すんじゃないかと思っています」と話した後、「今日は本当に岐阜さんの“ショートパスクリーンアタック”というか、何て言えばいいのかわからないけれども、そういう所にちょっと翻弄されちゃった所もある」と続けた。一方、大木は会見の冒頭で「『やっぱり岐阜かな』というゲームかな、という所ですね。あそこで2回引っ繰り返している訳ですからね。勝ちに持って行かなきゃいけない。でも、それができないのが今の岐阜なのかなと。もうひと踏ん張りかなと思います」と語っている。

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