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「東京五輪への推薦状」第51回:大化けしつつある興國MF村田透馬。意外なきっかけで身についた3つめの武器

ゲキサカ / 2017年12月29日 21時45分

興國高MF村田透馬

 2020年東京五輪まであと3年。東京五輪男子サッカー競技への出場資格を持つ1997年生まれ以降の「東京五輪世代」において、代表未招集の注目選手たちをピックアップ

 速いのは分かっていたのだが、妙に“上手さ”のほうが目に付く。全国から埼玉に新チームが集まる大会「GO FOR WORLD CUP」に臨んでいた興國高のMF村田透馬(2年)は、周囲の予想を超える形で大化けしつつあった。

「中学のころからスピードには自信があって、裏へ抜ける形でよく点を取っていました」(村田)

 本人がそう振り返るように、“速さ”で知られる選手である。内野智章監督が「本当に持って生まれ持った筋肉」と語る強烈な速筋を活かしたプレーを得意としており、進路として興國を選んだのも「まるで自信がなかった」というドリブルを磨きたかったというのが大きかったと言う。「1対1の練習とか本当に嫌でした」。広大なスペースへ飛び出せば輝く男も、狭いスペースで技巧勝負となれば、いつも簡単に止められてしまうからだ。

 興國に入ってから技術的なトレーニングを重ねる中で少しずつ自信も付いていったと言うし、実際に上手さを感じさせるプレーを見せるようにもなった。ただ、やはり売りは“速さ”である。内野監督によれば、来季から名古屋入りする先輩FW大垣勇樹も同じく速さに定評のある選手ながら「村田にはかなわない」と言っていたそうで、実際に数字を計っても抜きん出た記録が出てくる。圧倒的な存在だった。

 そして転機は余りにも意外なところでやって来た。内野監督の言葉を借りると、「ホンマにウソみたいと思われるでしょうけれど、本当の話」である。9月に行われた練習試合で、村田は転倒。手首を骨折してしまったのだ。あくまで手の負傷ということで固定する形で練習を再開したのだが、痛みがないわけではない。特に手に力を入れると痛いようで、「とにかく力まないように、力まないようにとプレーしているのが分かった」(内野監督)という状態。普通に考えればプレーするのはかなり微妙だが、まずは周囲の選手が奇妙な現象に気付いたのだという。「監督、村田のやつ、何か良い感じに力が抜けてませんか?」。

 ファーストタッチがスムーズで、ターンも滑らか。「本当に『あれ?』という感じでした」(内野監督)。本人も「いや、不思議なんですけれど、トラップとかがピタッと止まるようになって」と首をかしげる現象が起きることに。「“ゆるめる”ことの大切さはこれまでも強調してきましたが、思わぬ形で実践できたみたいです」(内野監督)。負傷が癒えてからも「感覚は残っていた」(村田)とのことで、その速さには別種の怖さが備わることとなった。

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