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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:泥臭くても。倒れても。(アスルクラロ沼津・畑潤基)

ゲキサカ / 2018年3月17日 7時43分

 そんな畑の身近では、最高の“お手本”がプレーしている。「初めて沼津に来た時は『ああ、テレビで見ていたゴンさんだ』と思って(笑)」。中山雅史。50歳。言わずと知れたスーパースター。ワールドカップでもゴールを奪った、日本サッカー史上屈指のストライカーである。「去年はゴンさんと紅白戦とかで2トップを組むこともあって、その中で『ゴンさんの動き出しはちょっと違うな』と。フォワードの嗅覚とか、そういう部分でも盗めるものがあって、それは凄く大きかったかなと思います。やっぱり誰しも憧れる人なので、それを全部盗めたら、自分ももっともっと上に行けるんじゃないかなって」。今年も練習試合を外から見た中山が、動き出しをアドバイスしてくれることも少なくないそうだ。その中でもやるべきことはハッキリしている。「“背後”優先というのは、ゴンさんが全盛期でやっていた時も変わらなかったそうなんです」。ディフェンダーにとって最も怖いのは“背後”。レジェンドの後ろ盾も、信じる力を支えている。

 古巣への想いも、今の畑を衝き動かす1つの原動力になっていることは間違いない。「まず長崎がJ1へ上がったことに対して、最初は嬉しいという気持ちだったんですけど、やっぱり自分が抜けて、どんどん結果が出てきて、というのは凄く悔しくて、『あの中に自分もいたかった』という気持ちはありました。今は自分がここで活躍して、帰った時にJ1の舞台で活躍できるようにという想いはあります。でも、ここでサッカーをしていることで、自分の気持ちも変わっている部分があるので、『去年の半年は無駄じゃなかったのかな』って思っています」。自らの立ち位置を変えれば、“逆風”はそのまま“順風”になる。あるいは長崎にいたら、あるいは沼津に来なかったら、知ることのできなかった何かに、彼はもう気付いているはずだ。

 目標を尋ねられ、「個人としてはJ3得点王。チームとしてはJ3優勝。この結果で終われたら最高ですね」と話した直後、畑が何気なく続けた言葉が印象深い。「監督も熱くて、選手もみんないい人なので、やりやすい環境です。『常に全力でやれ』と言われていますし、だいぶ変わってきたと思います。なんか泥臭いプレーがカッコ悪いとか思う人たちもいるじゃないですか。それが全然なくなりました。『チームのために走って、倒れても別に関係ない』という想いになりました」

 監督会見で畑について問われた吉田は、こう言葉を紡いでいる。「昨年の終わりから、サッカーに懸ける想いがプレーで表現できるようになってきた選手で、その想いが今日あのゴールに結び付いて、本人も自信になっただろうし、ここからが彼のスタートだと思っていますので、さらに泥臭くゴールに向かう、ゴン中山選手のように、なりふり構わず“熱中”するサッカー選手になるための、やっとスタートを切れたかなと思っています」。

 畑潤基。23歳。情熱の指揮官に率いられ、とにかくひたむきな『熱中フットボール』を掲げるアスルクラロ沼津の中で若者は今、“熱中フットボーラー”への道を歩み始めている。

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
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SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史

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