「前後際断」。今何をすべきか考え、実行した日本高校選抜が世界で舞う

ゲキサカ / 2018年4月3日 10時14分

5年ぶりとなるデュッセルドルフ国際ユース大会優勝を果たした日本高校選抜。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[4.2 デュッセルドルフ国際ユース大会決勝 ボルシアMG 1-2 日本高校選抜]

 日本高校選抜が逆転V! 第56回デュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)は2日、決勝戦を行い、5年ぶりに決勝進出を果たした日本高校選抜はボルシアMG(ドイツ)と対戦。先制されたが、MF田部井涼主将(前橋育英高→法政大)とFW佐藤颯汰(日章学園高→北九州)のゴールによって2-1で逆転勝ちした。日本高校選抜は5年ぶり2回目の優勝で、田部井が大会ベストMFを受賞。チームは欧州遠征全8試合無敗で活動を終えた。

 第96回全国高校サッカー選手権の優秀選手たちを中心に構成された日本高校選抜が世界で舞った。日本は約3時間半前まで行われた準決勝と同じ4-5-1システムを採用。GKは薄井覇斗(流通経済大柏高→流通経済大)で4バックは右SB後藤田亘輝(前橋育英高→青山学院大)、CB蓑田広大(青森山田高→法政大)、CB生駒仁(鹿児島城西高→横浜FM)、左SB角田涼太朗(前橋育英高→筑波大)。中盤は田部井と宮本優太(流通経済大柏高→流通経済大)のダブルボランチでトップ下が菊地泰智(流通経済大柏高→流通経済大)、右SH荒木駿太(長崎総科大附高→駒澤大)、左SH井上怜(市立船橋高新3年)の構成。そして1トップにはFW佐藤颯が入った。

 日本は前半8分に左サイドから押し込まれると、最後はFWアリ・アブ・アルファに右足ボレーを叩き込まれてしまう。今大会4度目となる先制点献上。だが、引きずらずに今何をやるべきか考えて反撃に出た日本は10分、田部井の大きな展開から右の荒木がシュートまで持ち込んで左CKを獲得する。

 荒木のCKはGKにクリアされたが、セカンドボールに反応した井上が中央からゴールエリア方向へループパスを入れる。タイミング良くDFラインと入れ替わった田部井が左足ダイレクトボレーをゴールネットに突き刺した。

 主将の今大会3得点目となるゴールで同点。直後から佐藤颯、荒木の2トップへ移行した日本は、前線の2人が抜群の走力を発揮して右へ、左へとプレッシャーをかけ続ける。それに連動する形で守る日本は、タフな守備光る宮本ら後方の選手たちがボールを奪い取り、田部井のサイドチェンジや佐藤颯、井上の縦への仕掛けを活用しながら勝ち越し点を狙った。

 15分には田部井が右へ展開。荒木とのコンビネーションから菊地が左足シュートへ持ち込み、21分には荒木とのワンツーで菊地がPAへ切れ込む。互いにボールサイドでは人数をかけて激しい攻防戦の連続。25分ハーフのゲームは1-1で前半を折り返した。
 
 後半開始直後、日本がプッシュする。4分、宮本が右サイドのFKで相手SBの頭上を越える配球。これで抜け出した菊地がラストパスを通し、佐藤颯がGKと1対1になる。これは決めきれなかったが直後の6分、前線の荒木が競ったボールのこぼれを拾った佐藤颯が縦に仕掛けると、後方からファウルで止められてPKを獲得。志願してPKキッカーを務めた佐藤颯が右足シュートを左隅に決めて勝ち越した。

 ボルシアMGは選手を立て続けに入れ替えて反撃。敵陣深い位置までボールを運び、そこから穴を開けようとしてきていたが、日本は最終ラインで存在感を見せ続ける生駒と蓑田の両CB、後藤田、角田の両SBたちがチームコンセプト通りにしつこく、人数をかけて守り続ける。要所でGK薄井の勇気ある飛び出し、クリアも出ていた。終盤は特に荒木、佐藤颯をはじめとした各選手が献身的な走りの連続。相手のミスを何度も誘発していた日本は23分には井上に代えてFW飯島陸(前橋育英高→法政大)、さらに佐藤颯をFW町野修斗(履正社高→横浜FM)にスイッチする。狡猾に時間を進め、平野監督が求める「勝ち切り方」を表現した日本がそのまま2-1で逃げ切った。

 今年の日本高校選抜には合言葉があった。「前後際断」。過去にも、未来にもとらわれずに、今を全力で生きようという意の禅の言葉なのだという。日本高校選抜は今大会、4度先制されたが、そこで今何をしなければいけないのか切り替えられたからこそ、4度追いつき、決勝では逆転した。同点、また逆転してからは喜びすぎることなく、今何をしなければならないのか考えて次の1点を狙ったり、試合を締めることを目指した。それをチームのために素直に実行できる、合言葉通りの集団になった。

 田部井は「今やれることをキチッとやれたから連続失点しなかったですし、もっと持って行けたのはあの言葉があったからだと思います」とコメント。静岡合宿の際に福島・田坂和昭監督から「人は変えられないけれども、自分は変えられる」という話とともに伝えられた言葉が「前後際断」だった。それを平野監督、選手たちはミーティングで繰り返し確認。平野監督は「勝つために何をしなければいけないかということで、その状況、スコア、時間帯……選手が判断して今何をすべきかできるようになってきたというのは、少し子供から大人のサッカーになってきた」と頷いていた。

 5年ぶりとなるデュッセルドルフ国際ユース大会優勝。田部井は「出ている選手も出ていない選手も一丸となって戦うことができたと思います。その他にも現地の日本人の方が応援に来てくれたり、日本にいる友だちも向こうの時間だと深夜だと思うんですけれども『おめでとう』とかLINEをくれていたので、そういうものも支えになりました」と仲間の支えの大きさについて語り、平野監督は「日本の高体連の総力です」と全国の高校サッカー部の指導者、関係者たちに感謝した。そして、指揮官は「ここから代表選手が出てくれるのが本当に楽しみですよね。どこのチームのマネではなく日本の子たちがやったサッカーで勝てたのが良かった。素敵な仲間の集まりだったと思います」とコメント。歴史あるデュッセルドルフ国際ユース大会で貴重な経験、勝利の自信を得た選手たちはJリーグ、大学、また高校のステージで学んだことを発揮する。
 
(取材・文 吉田太郎)●2018日本高校選抜欧州遠征特設ページ
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