W杯で初導入の『ビデオ判定』…VARってどんな仕組み? 誤審がなくなる? 問題は起きないの? を一気に解説!
ゲキサカ / 2018年6月22日 22時17分
これについて、前述したIFABという組織も説明に追われている。VARがプレーを確認するのに約20秒、レフェリーの判定までは約60秒(いずれも中央値)かかっていることを認めつつ、これらはプレーイングタイムの約1%にあたり、FKに要する時間の9.5%、スローインに要する時間の8%にすぎないと述べている。。
もっとも、VARによる中断と、セットプレーによる中断では、状況が異なるのは言うまでもない。さらに、特に問題となるのがゴールシーンをめぐる判定。選手とサポーターが喜びを分かち合っている場面に介入が行われ、たとえゴールが認められても喜び半減……という問題も起きている。正確性を実現するには、必ずしも良いことばかりではないようだ。
■想定される問題は他にも……
これまでの導入期間を振り返ると、本大会で起こりそうな問題も見えてくる。まずはVARの大前提である「確実かつ明白な誤審」に関わる問題だ。この原則に沿ってみれば、「あやふやな判定」は主審の判断を優先すべきということになる。ハンド判定、オフサイド判定、ラフプレーでは、そういった場面は決して少なくないだろう。
だが現状のところ、このルールが完全に守られているとは言いがたい。IFABの調査では20試合に1試合程度の割合で「確実かつ明白な誤審」ではない場合に介入が行われていたと指摘されている。もし、この原則が守らなければ、VARは「アシスタント」の役割をはみ出し、主審を上回る地位を与えられることになる。サッカーのルールの根幹を揺るがすことにつながるため、注意深く見守っていく必要があるだろう。
また、過去には細かいルールの認識不足が明らかとなった事案も発生している。4月16日のブンデスリーガ第30節、マインツ対フライブルク戦のこと。前半ラストプレー、マインツのクロス攻撃が相手にブロックされ、前半終了のホイッスルが鳴ったが、選手たちがロッカーに戻った後、VARの介入でハンドが認められた。その後、選手たちは再びピッチに入り、あらためてPKが行われた。
ホイッスルが鳴った後のプレー再開は、異例の出来事だった。争点となったのは「VARによって、どの段階まで判定を覆して良いのか」に関してだった。規則には「VARは主審がフィールドを出なければ行動できる」とあり、この件では主審がサイドラインを超えていなかった様子。ただ、当の主審はそのルールをほぼ認識していなかったことが明らかになり、現地ではそれなりの騒動になっていた。
その他、ポルトガルではVARが使用するカメラにサポーターの振ったフラッグがかかり、オフサイドが見逃されてしまうという事例が発生し、イングランドでは最終ラインをめぐったカメラアングルが議論の的となっている。本大会でもさまざまな議論が巻き起こりそうなVAR。この新テクノロジーの行方については、『ゲキサカ』でも重点的に報じる予定だ。
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