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ワールドカップ元日本代表・山口素弘の発見「知的障がい者とプレーしてわかったこと」

ゲキサカ / 2018年8月8日 11時50分

合宿中に円陣の輪に入った山口素弘氏(中央)と遠藤宰(左から4人目)

 知的障害のある「アスリート」と知的障害のない「パートナー」が同じチームでプレーするユニファイドサッカーの初の国際大会「2018年スペシャルオリンピックスユニファイドフットボールカップ・シカゴ presented by TOYOTA」が7月中旬に開催され、スペシャルオリンピックス(SO)日本代表はイタリアに引き分け、ジャマイカ、ナイジェリアに敗れた。SO日本代表にアドバイザーとして帯同した元日本代表の山口素弘氏(名古屋グランパスアカデミーダイレクター)は、こう総括した。

「アスリートとパートナーがひとつのことに対して、お互いを理解しあって、何かをすることは意義深いです。現地で決勝(エクアドル―ウルグアイ)も選手のみんなと一緒に見ました。ウルグアイはW杯に出ていたあのウルグアイと同じイメージの迫力で、試合を見た選手の中から『あそこまで行けるんですね』と希望に満ちたコメントも出てきた。世界最高峰の試合を直接見て、レベルを肌で知って、『もっとやれる』と考えられる機会になったこともよかったです」

 ユニファイドサッカーは退場等がない限り、アスリート6人、パートナー5人で構成する。アスリートとパートナーがどう連携をとるか。SO日本代表も一筋縄ではいかなかった。パートナーの主将、橋本亮汰はこう振り返る。

「やる前は正直、『(アスリートに)どうからんでいいのかな』という不安がありました。アスリートの中には自分から言葉を発しない子もいて、アスリート同士、パートナー同士で固まってしまう。でも、5月に名古屋グランパスの練習場で2度目の合宿が行われたとき、名古屋のユースと試合をしてコテンパンに負け、その晩のミーティングが変わるきっかけになりました。普通は、監督が選手に語り掛ければ、大体理解できるかもしれない。でもそのやり方では、アスリートがわからない場合がある。そこでパートナーが、近くにいたアスリートに『今のわかった?』とこまめに声をかけ、かみ砕いて説明しながら進めたんです」

 その晩を境に、双方の心の「溝」が急速に埋まった。橋本が持っていたボールを、あるアスリートの選手がいたずらで持ち去り、ニヤニヤする。山口氏も、あるアスリートの選手から「人数足りないので一緒に練習しましょう」と誘われるようになった。

「アスリートはもしかしたら、周りから『自分でやろう』とする機会を与えられず、自信を持てなかったのかもしれません。寝食をともにして、同じ釜の飯を食う。そこですごく変わる。それは普通のチームを指導していても同じですよね」(山口氏)

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