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大怪我のエース、受け継いだリーダー…東邦を支えた2人の『10』

ゲキサカ / 2019年1月1日 6時30分

10番を背負って戦った東邦高MF藤原颯(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[12.31 選手権1回戦 東邦高1-3大分高 等々力]

 絶対的エースから受け継いだ10番を背負って臨んだ“最後の冬”は、全国大会の1回戦で幕を閉じた。「未練も後悔もあまりないですね。今回の相手の10番だってうまかったし、やり切ったかな…というほうが大きいです」。東邦高MF藤原颯(3年)はそう語り、爽やかな笑顔とともにスタジアムを後にした。
愛知県予選ではゲームキャプテンを務めたMF藤原颯(3年)
 理想のスタイルは「相手のキーマンを潰せる選手。そして、ここで止めなきゃいけないというところで仕事ができる選手」。しかし、背中に着けている数字はエースナンバーの10番。今年10月、絶対的得点源のFW石川璃偉(3年)が全治約6か月の負傷をしたことを受け、やむなく引き継ぐ形となった番号だ。

「最初は点を取ったりしなきゃいけないのかな、と思っていました」。最後の県予選でゲームキャプテンも任され、チームへの貢献を第一に考えていた藤原。一人でカウンターを完結できるスピードを持ち、チームの攻撃を一手に担っていたエースが離脱するならば、穴を埋めようと考えるのは自然なことだった。

 だが、『6』か『8』だった数字が『10』になるという重みだけで、簡単に個性が変わるはずもない。「10番というタイプでは絶対にない。守備が8割、9割ってタイプですから」。そう迷う藤原に対してある時、横井由弦監督ら指導陣が声を掛けた。「自分ができることをやれば良いんだぞ」と。

「そこで意識を変えることができましたね。他のチームから『この10番、あんまりうまくないぞ』とか、どういうことを言われてでも、自分にしかできないプレーをすれば良いかなと思えるようになりました」。そんな新エースに支えられたチームは愛知県予選を僅差で突破し、全国大会への出場権を手にした。
スタンドから声援を送るFW石川璃偉(3年)(写真は愛知県予選)
 一方で、藤原が背負おうとしていたエースの重みはチーム全体に責任となって波及した。「リイが怪我をして、本当にどうなるんだろうと思っていました。ただ、守備陣は『失点しなければいいんだ』って、そして攻撃陣は『自分がやらないといけないんだ』って。良い意味の危機感を与えてくれたと思います」(藤原)。

 そうして迎えた全国初戦、Jリーグ王者の川崎Fが本拠地とする等々力陸上競技場が舞台だった。「緊張はありました。昨日はそれほどでしたけど、バスを降りて中に入ったくらいから、会場の雰囲気に圧されてしまって…」。パロマ瑞穂スタジアムでも2試合経験したが、全国の景色は一味違ったようだ。

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