「冷や飯を食って」掴んだ初出場、佐賀・龍谷の冬は16強終幕…黒木主将はもう一つの“決戦”へ
ゲキサカ / 2019年1月3日 22時27分
[1.3 選手権3回戦 龍谷高1-1(PK2-4)秋田商高 フクアリ]
初出場で8強進出という大きな夢は、あとわずか数分のところで断たれた。龍谷高(佐賀)は1点リードの後半40分、秋田商高DF山本翔太(3年)に同点ゴールを献上。そのまま入ったPK戦に2-4で敗れ、勝利目前の状況から大会を去ることになった。DF黒木聖也(3年)主将は「ベスト8がちらついてしまった」と悔やんだ。
龍谷は初めて佐賀県大会を制し、全国高校選手権に初出場。初戦の羽黒高戦で3-0の圧勝劇を演じ、ベスト16入りを果たした。この勢いは3回戦でも止まらず、前半17分にDF今村慎二(3年)のゴールで勝ち越すと、アディショナルタイムを守り切ればベスト8進出というところまで辿り着いた。
だが、結果は望んだものではなかった。「少し油断があったかもしれないし、自分たちが勝てるんだとベスト8がちらついてしまった。流れが相手のほうに行っていたのに、そこを流してしまった。もっとはっきりやっていれば…」(黒木)。同点ゴールの後に迎えたPK戦、龍谷は2人のキッカーが止められ、終幕となった。
それでも、史上初出場の偉業は色あせない。龍谷は本格強化5年目。かつて清水商高で高校選手権を目指し、強豪の壁に跳ね返されてきた元Jリーガーの太田恵介監督は「これまで冷や飯を食ってきた」と振り返る。ノウハウの蓄積がない中で、スカウト、体制づくり、チームづくりなど、全国に向かう歩みを一つ一つ進めてきた。
その中でも効力を発揮したのは、今季から部員たちを“部署”化したことだったという。「それぞれの役割を明確にして、責任を与えて、部署のリーダーに発信させるようにした」(太田監督)。寮の当番、駐輪場の管理、下級生の指導、補食用のおにぎり作り——。それまでは指揮官が指示を出していた仕事だったが、それぞれに担当者を任命し、部員に管理させる形にしたのだ。
「それまで大人に怒られるだけで成長しなかったのが、やりながら成長するようになった」(太田監督)。主将の黒木もこの仕組みの効果を実感していた様子。「前は自分一人でやろうとしていて、周りも自分任せだった。でも、自分も人に頼るようになったので、全員がそれぞれのリーダーになっていったと思う」。
そういった「サッカー以外の成長」を積み重ねたことでピッチ内の成績も向上し、初めて全国大会への扉が開いた。「この3週間、楽しいことしかなかった。選手たちがノビノビと成長しているのを感じた。全国に出て得るものはすごいと感じた」(太田監督)。あとは、この財産を次の世代に受け継ぐ構えだ。
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