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23日公開の映画「蹴る」に込められた思い

ゲキサカ / 2019年3月16日 15時8分

右から中村監督、永岡真理、出演者の吉沢祐輔、Jリーグ・米田惠美理事、北澤豪・日本障がい者サッカー連盟会長

 電動車椅子サッカー日本代表選手の日常を追った「蹴る」が23日、ポレポレ東中野より全国順次公開される。選手やその関係者の日常を鮮明に映し出すため、撮影に6年間費やしたが、中村和彦監督と、出演者のひとり、永岡真理にインタビューした。

 中村監督は映画をとるきっかけとなった永岡との出会いの日を今でも忘れられない。

「ちょうど、(2011年に)なでしこジャパンが世界一になる前日のことでした。電動車椅子サッカーの日本代表―関東選抜戦があって、日本代表の相手チームにいた彼女(永岡選手)に一目ぼれしたんです。本当に背中から炎が出ているような感じで……。永岡選手をはじめ、選手や支えている人たちのもとに通い続けてわかったのは、極端に言うと、彼女、彼らから電動車椅子サッカーをとってしまったら何が残るんだと。それぐらい賭ける思いが強い。チームのスタッフも、選手たちの『熱』に引っ張られていた。そのことが撮る原動力になりました」

 中村監督にとって、知的障がい者のサッカーワールドカップ2006年大会に出場した選手たちを追ったドキュメンタリー映画「プライドinブルー」、2009年夏に台北で行われたデフリンピックに初出場した聴覚障害を持つサッカー女子日本代表チームを追った「アイコンタクト」についで、障害者サッカーをテーマにした映画は3作目。「蹴る」は今までで一番時間を費やした。

「何かある特別な思いに突き動かされたわけではないんです。(『プライドinブルー』を撮る前から)僕自身に障がいのある人への先入観や十分な知識もなかった。だからこそ、フラットな目線で入れたと思っています。今までの作品も、今回も映画を見てもらった人に追体験してもらいたい、という想いは変わりません」
熱っぽく語る中村和彦監督
 身を削るような思いで電動車椅子サッカーにのめりこむ選手たちの姿や、病気とのはざまで競技の続けるためのある重大な決断、上達したいと思うがゆえの葛藤、濃密な人間関係の中から生まれた甘い恋や切ない別れまで、彼女、彼らのあるがままの姿が映し出されている。リアルを映し出すことにこだわって、選手や支える人たちに完全に溶け込む関係性を築いた中村監督のことを、永岡はこう明かす。

「監督は、私たちが遊んだり、通院風景などもすべて追っています。だから映画になるまではどこが使われるかもわかりませんでした。実は、最初の頃は(撮影を)遠慮していただいた場面もあったんですけど、だんだんいてもらうことが自然になっていって、むしろいないときは『なんでいないの?』みたいな……(笑)。『撮るよ』と構える感じでなく、普通に輪の中にいる感じでした」

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