異例のシーズン中引退、トーレスの動機は”次世代育成”へ「欧州の若手選手たちは…」
ゲキサカ / 2019年6月23日 13時54分
サガン鳥栖FWフェルナンド・トーレスは現役引退の理由を「高いレベルに達していないため」と明かした。現契約は来年1月1日まで残っており、1年間の延長オプションもあったが、クラブに求めたのはシーズン途中での契約解除。そんな異例の決断の裏には「これまで成し遂げてきたことを残したい」という育成への強い動機があるようだ。
トーレスは昨夏、自身の選手キャリアで最も長い時間を過ごしたアトレティコ・マドリーを離れ、九州の地方クラブである鳥栖に加入。南アフリカW杯優勝、欧州選手権連覇という華々しいキャリアを誇るビッグネームの電撃移籍は国内外から大きな驚きを呼んだ。
トーレスによれば、加入のきっかけとなったのは鳥栖を運営する株式会社サガン・ドリームスの竹原稔社長による熱心なオファー。引退会見の場でも「マドリードに足を運んでくれて、サガン鳥栖でやっていきたいことを伝えてくれた。それでサガン鳥栖にきた。何か助けになれればと思う」と感謝の気持ちを口にした。
ただ、クラブ首脳の熱い勧誘と一定の年俸だけで、世界有数のスター選手が自身最後のキャリアを捧げる覚悟を持つとは考えにくい。すると、他になんらかの動機があることが推測されるが、昨年7月15日に行われた加入会見の場ではその一端が明かされていた。それは「育成」への強い関心だ。
「プレーを見てもらうことで、子どもたちにもっとサッカーに興味を持ってもらいたい」。当時は中心選手として期待される立場ということもあり、プレーによる技術継承への言及が主だった。それでも現役選手が「若い人たちにできる限りのことを教えたいと思っている」と力強く語る姿は印象的だった。
そこで加入会見の質疑応答では、一つの質問をぶつけてみた。「サガン鳥栖ではアカデミーの選手と時間を共にすることもあると思うが、これから若い選手、子どもたちに伝えていきたいことはどういったことか」と。すると、こちらが想像していた以上に熱いメッセージが返ってきた。
「子どもたちに常に言いたいことですが、サッカーというのは“情熱”です。サッカーというのは“夢”です。学校やアカデミーに行って、サッカーを楽しんで、多くのことを学んでもらいたい。そして、多くの努力をしてもらいたい。サッカーは楽しむこと、チームで取り組むこと、そして夢を持つことが大事です。というのも、夢は教えることができません。まずは自分自身で夢を持って、それに向かって進んでいってほしいと思います」。
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