なぜ、このタイミングとなったのか…“前倒し”で鹿島加入のFW上田綺世「コパの結果がきっかけではない」
ゲキサカ / 2019年7月26日 21時21分
鹿島アントラーズへの加入が発表された法政大FW上田綺世(3年)が26日、同大学で加入記者会見を行った。
1998年8月28日生まれ、茨城県水戸市出身の20歳は中学時代は鹿島の下部組織である鹿島アントラーズノルテに在籍し、ユース昇格は叶わなかった。鹿島学園高、法政大とキャリアを歩み、2年次の今年2月には2021年シーズンの鹿島加入内定が発表されていたが、法政大サッカー部を退部して今季より加入が決定。今月28日よりチームに合流することになった。
実は2月の21年シーズン加入内定が発表される前に一つの考えがあったという。「本当は3年生になるタイミングで(大学を)辞めることも考えていたし、中退して鹿島に専念するという決断もあった」ようだが、「(法政大の長山一也)監督やスタッフの方と話しをして、まだ法政大でできることがあると僕は感じたし、それを実現しないと(法政を)出れないと思った」と法政大サッカー部でプレーを続ける決断を下した。
「この半年、なかなか活躍できなかった」。本人の言葉を借りれば、ピッチ上での活躍は限られたのかもしれないが、ピッチ内外で仲間に刺激を与えてきた。「代表や上のレベルを経験している人間は僕しかいないので、代表で感じたことをピッチ内で表現したり、後輩や同じポジションの選手に伝えてきたし、自分が持っている技術や思考を伝えるために、シュート練習をしながら伝えられる限りの感覚を伝える努力をした」。これまで以上に自身の経験をチームに還元できたいう感覚もあり、「僕が法政でやれることはやり切った。コパ・アメリカに行く1、2週間前に僕の中で決断した」と鹿島加入を決断し、コパ・アメリカ出発当日、長山監督にその旨を伝えたという。
コパ・アメリカでは初戦のチリ戦から鋭い動き出しや抜群のポジショニングを武器にして、幾度となく決定機に顔を出した。ノーゴールに終わって「僕はまだ力が足りなかった。力不足を知れたのは良かった」と悔しさを露わにしており、この経験が今回の決断に影響を与えたかと思われたが、「コパの結果がきっかけになったわけではない」と説明する。
「大学生としてコパに選ばれる存在になれたことで、次のステップに進むきっかけになった。だから、コパに行く前に監督には決断を伝えていて、その間に監督やスタッフの方が動いて頂いたので、これだけスムーズに事が進んでいると思う。そこにはすごく感謝がある」。法政大でやるべきことをやり切ったという思いと、コパ・アメリカを戦うA代表に初選出されたことが、次のステップへと進もうとする上田の背中を押すことになった。
鹿島は今夏、FW鈴木優磨、MF安部裕葵、DF安西幸輝が海外へと飛び立った。「かなりの主力が抜けたというチーム状況もある」と語った鈴木満強化部長が、「上田選手は貴重な即戦力。31日にレッズとの試合があるが、そこから試合に出て頑張ってもらいたいくらい期待している」と続けたように、上田には大きな期待が寄せられている。ステップアップを果たすストライカーは、「僕が思うプロフェッショナルというのは、人を魅了する、感動させることだと思っている。まずは試合に出ること。結果を残すことをやっていきたい」と新たなステージでの飛躍を誓う。
(取材・文 折戸岳彦)★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
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