新国立競技場での初勝利。関東一・小野貴裕監督が選手宣誓と聖地のピッチに得た感慨

　この日の試合は、決して自分たちだけのものではない。多くの方に見守られている一戦であり、多くの方への感謝を示す一戦でもある。「今日は単純に自分たちの勝利云々ということだけではなくて、我々が今までしてきていただいたように、この環境を次の世代にしっかりと残していかなければいけないので、やはりピッチに立った者がしっかりとしたサッカーをすること、無責任なプレーをしないということが、我々にできる唯一のことかなと思っていました」と小野監督。果たして選手たちは最後まで全力を尽くし、終盤にも2ゴールを挙げて6-0と快勝。東京都の代表として、新国立競技場でのファーストマッチを堂々たる勝利で飾ることに成功した。

　東京都の高体連主催大会は、今年度も大半が無観客での開催。選手権予選では保護者やサッカー部員のみが入場を許されることもあったが、8,587人を数えたこの日のような観衆の中でプレーする機会は、今年に入って初めてと言っていい。選手権自体も昨年度は基本的に無観客で行われており、この開幕戦も実質的に2年ぶりの有観客試合。「このような感じで本当に多くの方に見てもらって、学校の人からの拍手の応援もプレーを後押ししてくれました」と話したのは池田。さまざまな意味でこの80分間は、国立競技場にとっても、そして高校選手権にとっても、リスタートとなる貴重な時間だったような気がしてならない。

　オンライン会見の最後を、小野監督はこう締めくくっている。「皆さんのおかげで今があるなと思っていますし、私も今回の大会を1つのスタートとして、また来年度も本当に戻って来たい場所なのは間違いがないので、来年もまた頑張ってこのステージへ戻って来たいなと思っています」。

　小野監督が質問した記者から、「準決勝まで勝ち上がれば、また戻ってこれますよ」とツッコまれたのはご愛敬。この日、関東一と中津東高(大分)の一戦で再び歴史の幕が上がった国立競技場での選手権に、これからも数々の名勝負が舞い降りることを期待したい。

(取材・文　土屋雅史)
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