母校の指揮官として帰還した選手権で得た感覚。高知は目標までの距離を肌に刻み、次の戦いへと歩み出す
ゲキサカ / 2021年12月30日 7時25分
[12.29 選手権1回戦 堀越高 2-1 高知高 駒沢]
ピッチを見つめていると、不思議な感覚が襲ってきた。母校を率いている指揮官にとって、選手たちはすべてをぶつけてきた教え子でもあり、かわいい後輩たちでもある。全国の舞台で、強敵を相手に立ち向かっていく姿が、何とも頼もしく見えた。
「自分自身も選手権のピッチに立ったこと(第81回、第82回にGKとして出場し、ともに初戦突破)があって、本当にその記憶が自分が指導者としてこのピッチに立った時に甦って、何とか選手のためにじゃないですけど、『勝たせてあげたいな』という想いがありました」(高知高・大坪裕典監督)。
2年ぶりに帰ってきたこのステージの経験を糧に、高知高(高知)は再び前を向いて、次の戦いへと歩みを進めていく。
「一言で言いまずと、本当に悔しかったです。選手たちは本当によく頑張ってくれて、自分たちで考えて判断するというところもたくさん見せてくれました」。オンライン会見に臨んだ大坪監督は開口一番、選手たちを称えながらも悔しさを滲ませた。
堀越高(東京A)と対峙した初戦は、前半20分までに2点を先行される展開。だが、「逆転勝利もしてきたので、2失点しても全然大丈夫という気持ちはありました」とMF松井匠主将(3年)も話したように、怯むことなくアグレッシブに攻めた高知は、25分にMF松井貫太(1年)のミドルシュートがポストに当たった跳ね返りを、FW西田慎太郎(3年)がきっちり押し込み、1点差に。勢いを取り戻し、攻勢を強めたかのように見えたが、以降はなかなかアタックの糸口を掴めない。
「堀越さんは全体的に非常に良い立ち位置でサッカーをされていたというところで、なかなかプレスも行かせてくれないというシーンがたくさんありました」と大坪監督。ファーストプレスの位置が定まらず、堀越のビルドアップに対して有効なボール奪取の手立てを繰り出せず。時間ばかりが経過していってしまう。
結局、後半のシュート数はゼロ。「足元の技術は全然相手の方が上でしたけど、やっているサッカーというのは自分たちもそんなに負けていなかったので、それを全国の舞台で出せるか出せないかというところの差で負けたのかなと思います」と口にしたのは松井匠。1点差ではあったものの、全国大会の難しさを痛感するような80分間を突き付けられた。
高知は付属の中学校から一緒にプレーしてきた選手も多く、この日のスタメンに名を連ねた11人のうち、実に9人が高知中の出身者。とりわけ松井匠を含めた5人の3年生は、6年間に渡って同じグラウンドで一緒にボールを追い掛けてきた仲だ。
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