1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. サッカー

「相手の攻撃の芽はすべて摘む」。青森山田MF宇野禅斗がその能力を証明した“2分間”の煌めき

ゲキサカ / 2022年1月3日 18時7分

シンプル・イズ・ベスト。青森山田高の超高校級ボランチ、MF宇野禅斗(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 選手権3回戦 阪南大高 1-3 青森山田高 駒沢]

 百戦錬磨の指揮官から与えられた指示は、至ってシンプルだった。

「『一番シンプルな所をやってくれ』と。『相手に勝つための特別なプレーなんて何1つない』と。相手を引き付け過ぎずに、簡単にプレーしていくこと。そして、相手の攻撃の芽をすべて摘むこと。それは今日のゲームの中でもよくやってくれたと思います」(青森山田高・黒田剛監督)。

 シンプルであるがゆえに、究極のメッセージ。それをほぼ完璧なパフォーマンスで遂行する男。三冠を狙う青森山田高(青森)が誇る超高性能ボランチ。MF宇野禅斗(3年=青森山田中出身)が刈り取った跡には、文字通り相手が膨らませかけたチャンスの芽は、ほとんど残っていない。

 2分間にその凄味が凝縮されていた。阪南大高(大阪)を相手に、2点をリードした後半12分。中盤でのルーズボールの“芽”をいち早く察すると、いったんは相手が収めたボールを獰猛に奪取。その宇野のカットを起点に、FW渡邊星来(3年)が送った丁寧なスルーパスを名須川が冷静にゴール。試合を決める3点目を、アシストの“1つ前”のプレーで演出してみせる。

 直後の13分。中央でアングルを変えながらボールを引き出し、寄せてきたマーカーの股下をダイレクトで華麗に抜きながら、すかさず左足で正確なフィードを送る。走った名須川のシュートはやや力なくGKにキャッチされたが、攻撃面でもハイレベルなテクニックを発揮。改めて超高校級の能力を、わずか2分間で披露した。

 次の“舞台”には借りがある。準々決勝。東山高(京都)。まったく同じステージ、まったく同じ相手と対戦した、福井でのインターハイ。大量5点をリードした後半の終盤に、簡単なプレー選択が求められる局面で後ろを向いた宇野は、そのままボールをかっさらわれて失点を許す。

 そこまでの3試合はいずれも完封で勝ち上がってきた青森山田にとっては、これが大会初失点。直後に交代を命じられた宇野は、ベンチ前で黒田監督としばし話し込んでいた。

「5点差があったから、ああいう不用意な持ち方をしたんだろうけど、なんかちょっとチャレンジしたかったのか、そういうところがやっぱりアイツの甘いところかなと」。指揮官の厳しい言葉を待つまでもなく、本人が一番そのワンプレーを悔いていた。

「あのプレーは軽率な考えがプレーに出てしまったという自分の未熟さだと思っているので、しっかり受け止めて、次の準決勝ではチームを統率する選手という自覚を持って、プレーしないといけないかなと思います」。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください