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[MOM3758]関東一FW坂井航太(3年)_歓喜。絶望。再び歓喜。劇的同点弾とPK失敗を味わったストライカーの揺れた感情

ゲキサカ / 2022年1月5日 9時19分

後半40分。FW坂井航太(11番)の劇的な同点弾で関東一高が追い付く

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.4 選手権準々決勝 静岡学園高 1-1(PK3-4)関東一高 フクアリ]

 その感情は激しく揺れ動いた。歓喜。絶望。再び歓喜。自らのゴールに喜び、自らのPK失敗に頭を抱え、チームの勝利を仲間と分かち合う。

「みんな最後のPKを決めた瞬間に走り出したんですけど、自分はもう感情がコントロールできなくて……。でも、みんなに感謝したいですね」。

 それでもこの男が土壇場で奪った同点弾が、チームを救ったことは間違いない。ようやく帰ってきたストライカー。関東一高のFW坂井航太(3年=ARTE八王子FC出身)が放ったこの試合唯一のシュートが、歴史的な勝利の呼び水となった。

 相手の圧力は想像以上だった。優勝候補の静岡学園高(静岡)と対峙した準々決勝。「我々の想定をはるかに超える静岡学園さんの素晴らしいサッカーを前に、苦しい時間帯が本当に長く続きました」という小野貴裕監督の言葉通り、関東一はひたすら劣勢を強いられる。

 2枚目の交代カードとして、坂井がピッチに投入された1分後の後半20分。とうとう守備が決壊する。クロスの流れからの失点。耐えて、耐えて、耐え抜いてきたチームは、1点のビハインドを負うことになる。

 もちろん攻めたい。攻めなくては、追い付けない。だが、攻められない。以降も相手のアタックに翻弄され、まったくと言っていいほど攻撃の糸口を掴めない。坂井も左サイドで守備に追われ続ける。後半はチームも1本のシュートすら打てないまま、時計の針はどんどん進んでいく。試合は、ほとんど終わり掛けていた。

 40分。中盤でルーズボールを拾ったMF神山寛尚(3年)が左サイドへ展開する。途中出場のMF日下空(3年)は縦に仕掛ける。「日下が仕掛けていって、その瞬間に縦に行くのは分かっていたので、ここで一緒に自分もギアを上げないとチャンスは来ないなと思いました」。ここしかない。懸命に走る。全力で走る。

 グラウンダーのクロスが中央に折り返される。「低いボールが来るというのも練習から分かっていたので、あとは自分が届くか届かないかというところでした」。必死に伸ばした右足が捉えたボールは、無人のゴールネットを激しく揺らす。まさに乾坤一擲の一撃。坂井の劇的な同点弾。土壇場で関東一がスコアを振り出しに引き戻す。

 もつれ込んだPK戦。先攻の静岡学園2人目のキックは、関東一の守護神・GK笠島李月(3年)が完璧にセーブ。続く3人目のキックも枠を外れる。2人が成功していた関東一3人目のキッカーは坂井。「(PK戦で勝った)尚志戦でも3番目に蹴っていて、蹴るところも決めていて、後は決めるだけだったんですけど……」。右足で打ち込んだキックは、しかし無情にも枠の左へ逸れていった。

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