22分間のラストゲーム。前橋育英DF岡本一真は“第2の故郷”・群馬でプロとしての日々を歩み出す
ゲキサカ / 2022年1月5日 12時21分
[1.4 選手権準々決勝 大津高 1-0 前橋育英高 フクアリ]
時間は限られていた。残りは20分強。1点のビハインド。攻めても、攻めても、点の入らないチームを、もどかしくタッチラインの外から見つめていた2番に、ようやく声が掛かる。
ザスパクサツ群馬への入団が内定している前橋育英高(群馬)の注目サイドバック、DF岡本一真(3年=横浜F・マリノスジュニアユース出身)は後半18分、準々決勝のピッチに解き放たれた。
「攻守において1対1の部分では誰にも負けないという自信は持っています」と自分の特徴を語るように、対人には絶対的な強さを発揮する。試合によっては、相手のキーマンにマンツーマンのマークで付くことも。その高い能力はプロの目にも留まり、卒業後はJリーグの世界へと飛び込むことが決まっている。
だが、選手権予選も終盤を迎えたタイミングで、筋肉系の負傷に見舞われる。全国切符を巡る桐生一高との決勝では、その影響を感じさせないパフォーマンスで群馬制覇に貢献したものの、本人には普段の6割程度しか出せていないという感覚があった。
最後の選手権への想いを問われ、「高校3年間の集大成でもありますし、今後の自分に向けても成長するべき大会だと思いますし、日本一の機会がもらえたということで、モチベーションはかなり上がっています。そこに向けて今からコンディションを調整して、頑張っていきたいと思います」と言い切った岡本。12月中旬に行われた高円宮杯プレミアリーグプレーオフも欠場。照準を選手権1本に絞ってきた。
迎えた初戦。草津東高(滋賀)戦ではとうとうスタメンに復帰。後半アディショナルタイムまでピッチに立ち続け、4-0という快勝劇の一翼を担ったが、続く2回戦の三重高(三重)戦はメンバー外。3回戦の鹿島学園高(茨城)戦はベンチにこそ入ったものの、出場機会はなく、チームの劇的な勝利をアップエリアから見守っていた。
国立競技場を懸けた大一番。準々決勝で対峙するのは、プレミアリーグWESTでも優勝争いを繰り広げるなど、大会屈指の実力を有する大津高(熊本)。「残念ながらベストコンディションではなかったんですけど、20分か30分くらいは行けるということだった」(山田耕介監督)岡本は、この日もアップエリアで登場の機会を窺う。
前半の失点でビハインドを負う展開の中、後半は一方的に攻め込みながらも、なかなか同点弾が生まれない。指揮官の決断は後半18分。いつもの右サイドバックではなく、左サイドバックの位置へ岡本は投入される。
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