3年生のたゆまぬ努力で引き寄せた全国8強。前橋育英は寒風吹きすさぶいつものグラウンドから、またスタートを切る
ゲキサカ / 2022年1月5日 18時32分
[1.4 選手権準々決勝 大津高 1-0 前橋育英高 フクアリ]
「前橋育英さんの素晴らしいサッカーに敬意を表したいなと思います。相手チームの方が素晴らしいサッカーをしていたと思います」。大津高(熊本)を率いる山城朋大監督の言葉に、準々決勝の80分間が凝縮されている。攻めて、攻めて、それでも前橋育英高(群馬)はゴールを奪い切れず、国立競技場への道は閉ざされる結果となった。
前半11分の失点が、より試合の構図をハッキリとしたものに変えていく。「もっとお互いに攻めたり、守ったりの攻防を僕らは予想していたんですけど、結構ラインが下がっていて、スペースを消されていたという感じですね」とはチームを率いる山田耕介監督。少しずつ守備へと比重を傾けていく相手に対し、チャンスは作り続けるものの、なかなか決定的なシーンまでは生み出せない。
前線で縦関係気味に並んだFW守屋練太郎(3年)にMF小池直矢(2年)、右SHのMF渡邊亮平(3年)、左SHの長崎内定MF笠柳翼(3年)が細かいパスワークにドリブルを組み込みながら、何度もエリア付近へ迫る。
もともとボランチを務めていた両SB、右のDF大竹駿(3年)、左のDF岩立祥汰(3年)も好配球を繰り返し、MF根津元輝(2年)とMF徳永涼(2年)の実力派ドイスボランチは、根気強くボールを動かしていく。
チームの堅陣を支えるDF桑子流空主将(3年)とDF柳生将太(3年)も、失点以降は高い集中力を保ち、最後尾では守護神のGK渡部堅蔵(3年)がビルドアップにも参加しながら、指示の声を途切れさせない。
3回戦の鹿島学園高(茨城)戦で2ゴールを奪ったFW高足善(2年)、群馬内定のDF岡本一真(3年)と、2枚の交代カードも課せられた役割を的確にこなしていく。だが、肝心のゴールは生まれず。ファイナルスコアは0-1。「前半の最初に失点して、自分たちがボールを持つ時間が長かったんですけど、相手に引かれた状態で、そのゴールをこじ開けることができなくて、そこの最後の詰めの甘さが出た試合だったのかなと思います」。桑子はそう言って、悔しさを噛み締めた。
思い描いていたような1年間ではなかったことは、間違いない。「当初新チームがスタートしたころは結構大変だなと思いました」と指揮官も素直に明かしたように、昨年からのレギュラーもほとんど残っていなかったチームは、前進と後退を繰り返しながら、まさに一歩ずつ、ゆっくりと歩みを進めてきた。
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