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国立で弾けた晴れやかな笑顔。青森山田MF松木玖生が最高の仲間と目にした日本一の景色

ゲキサカ / 2022年1月12日 19時22分

青森山田高MF松木玖生主将は大津高MF森田大智主将と笑顔のグータッチ(写真協力=『高校サッカー年鑑』)

[1.10 選手権決勝 大津高 0-4 青森山田高 国立]

 どれだけ追い掛けても、その笑顔はこちらを向いてくれなかった。交代を命じられたベンチで、PKを外した先輩を抱きかかえたピッチで、涙を流すことしかできなかった。自分自身の運命を責め続けたことも、一度や二度ではない。

 それでも、諦めなかった。厳しくも、温かく指導してくれたスタッフのため。12歳の自分を、快く北海道から青森の地へと送り出してくれた家族のため。何より、ずっと一緒に夢を追い掛け続けてきた仲間のため。「選手権で日本一に」。その一念で、晴れの日も、雨の日も、雪の日だって、自分とサッカーボールと向き合い続けてきた。

「『このチームでやれて良かったな』って。それが率直に思ったことで、沼田(晃季)がボールを蹴って、審判が口に笛をくわえた時に、もう嬉しさのあまり先にガッツポーズをするくらい嬉しかったですね(笑)。やっぱり優勝しないと意味がないと思って、この大会は決勝まで本当にあまり笑顔を見せないようにしていたので、最後に優勝して終われて嬉しいです」。

 タイムアップの瞬間。その表情に浮かんだのは、1年間で最も晴れやかな笑顔。気まぐれな“選手権の女神”は、最後の最後で青森山田高不動のキャプテン、MF松木玖生(3年=青森山田中出身)に微笑み掛けた。

 中学1年生から時間を重ねてきた、青森山田で過ごす最後の1年。キャプテンになった松木が一貫して言い続けてきたのは、「チームに一番貢献する」こと。攻撃でも、守備でも、自分がチームに一番貢献する。それが勝利を引き寄せるための最低条件であり、唯一の条件だと信じ、自分に限界を設けず、できることはすべてやる覚悟を定めた。

 普段は先頭に立ってはしゃぐタイプ。いわゆる“天然”的な要素も持ち合わせている。「自分ではそうでもないと思い込んでいるんですけど、『オマエ、抜けてるな』とは言われます。言い間違えとか多いです。メッチャ仲が良いヤツだと、もうスルーされますね。『ああ、またか』みたいな(笑)」。気の置けない仲間とピッチ外で共有する時間も、大切にしてきたことは言うまでもない。

 一度ピッチ内に入ると、その表情は一変する。自分にも、チームメイトにも、一切の妥協は許さない。だが、今年のチームにはしっかりと意見を主張できる選手が揃っていた。副キャプテンのMF宇野禅斗(3年)とMF藤森颯太(3年)、ディフェンスリーダーのDF三輪椋平(3年)を中心に、違うと思ったことはハッキリと松木にも進言する。そんな仲間の姿を、誰よりも松木は頼もしく感じていた。

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