富士フイルム杯の“疑惑判定”に家本元主審が見解「テクニカル上はレッドカード間違いない」
ゲキサカ / 2022年2月16日 15時2分
DAZNで配信されている判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」は15日、最新回の公開をスタートし、今月12日に日産スタジアムで行われた富士フイルムスーパーカップ・川崎フロンターレ対浦和レッズ戦で物議を醸した判定を取り上げた。
問題の場面は後半30分だった。浦和のFW明本考浩がドリブルでゴール前に侵入し、後方から追っていた川崎FのMF大島僚太が明本の腕を掴んで減速させたが、明本は倒れずにプレーを続行。しかし、直前の減速が大きく響き、カバーに入った川崎F守備陣に止められた。ところが、試合はノーファウルのまま継続。その場に倒れ込んだ明本は首をかしげ、浦和の選手たちは一斉に笠原寛貴主審に詰め寄って抗議した。
明本はスピードに乗った状態でゴールに向かっており、大島の行為がファウルであればDOGSO(決定的な得点機会の阻止)であった可能性が高い。またDOGSOの反則はレッドカード相当のため、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の介入基準も満たす。ところが、この場面ではVARレビューが行われず、ファウルかどうかの再確認もなし。試合後、多くのサポーターから「倒れなかったからノーファウルなのか」「倒れたほうが得なのか」などとSNSを通じて疑問の声が上がっていた。
番組では当初、DAZN放映権対象外の富士フィルムスーパーカップの事例について扱う予定はなかったようだが、サポーターからの高い関心を受けてピックアップ。Jリーグの原博実副理事長、FIFA・AFC・JFA審判インストラクターの深野悦子氏、昨季までJリーグで主審を務めていた家本政明氏らが議論をかわした。
冒頭で深野氏は「結果的にはDOGSOにしたほうがよかった。ファウルが起きて、その後にプレーが流れた。とはいえプレーを見る時間もあり、そこは戻せるので、戻してあそこで映像を静止画にすると、DOGSOの4要件に当てはまるのでDOGSOだと思う」と説明。レッドカードが適切な判定だったいう見方を示した。
一方、これに家本氏が審判員の立場から「まあ、FIFAインストラクターはそうね。テクニカル的に……」と前置きしながら一部反論。「大島選手が完全にシャツを掴んだり、腕を引きずり倒したならわかりやすいが、手をいい感じで絡めに行くんですよね。それに明本選手が嫌がって、絡まるようになってバランスが少し引っ張られた。レフェリーの判断からするとそこで『おっ』と思う」と状況を説明した上で「倒れれば100%レッドだなとは現場の人間なら誰しも思う。ただ少し勢いを失いながらも行ったところはレフェリーからしたらホッとしている。でも体勢が崩れたところに車屋選手がカバーでカットして、状況が遮断された」と審判員の心情を推察しながら分析。「常にどうなの、どうなの、どうなのとなって、100%レッドだと意思決定しづらい」とノーファウル判定に至った背景を慮った。
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