古巣の新潟相手に強烈な2ゴール。「自分の仕事」を遂行し続ける大宮FW河田篤秀のJ2得点王宣言
ゲキサカ / 2022年2月27日 8時27分
続いての“仕事”は後半19分。左サイドで柴山昌也が中央を見やると、河田は既に相手両CBの間でボールを呼び込んでいた。「基本的に味方がクロスを上げられる状態になったら、一番ゴールに近いところに飛び込むというのは考えていて、あの状況では相手より先に触れる位置取りが既にできていました」。
完璧なクロスが送り込まれると、飛び出したGKの鼻先で10番の頭が軌道を捻じ曲げる。「正直キーパーは見えていなくて、ただボールに一番速く辿り着けるコースを走って、しっかり当てただけです。あそこに来ると信じて僕は先に走っていて、柴山もしっかりイメージ通りのボールを蹴ってくれたので、凄く良いゴールだったと思います」。今度は大宮サポーターの目の前で、自分の価値を存分にアピールする。
だが、2点のリードを奪ったにもかかわらず、チームは勝ち切れない。4分間で2つの失点を立て続けに許し、結果は2-2のドロー。「途中まで2-0とリードできたんですけど、終盤に体力が落ちてきた時とか、上手く行っていない時間帯の攻守ともにうまくできなかったので、2点リードしていただけに反省点が凄く強く残るところです」。自身は今季初ゴールを手にしたものの、チームの今季初勝利はまたも次節以降へお預けとなった。
試合前に河田が対戦を楽しみにしている選手として挙げていたのが、新潟在籍時にも一緒にプレーした、同じ1992年生まれの高木善朗だ。「プレーがというより、単純に善朗は同い年で、仲も良かったので、『どんなプレーをするのかなあ』とか、『どっちが活躍できるか』という個人的な楽しみが一番ある選手です」と話していた河田。この日は高木もチームの追い上げムードを高める得点を記録。もちろんゴールを獲られた悔しさもありながら、ピッチ上で再会した嬉しさも言葉に滲む。
「やっぱりまず対戦できたのが嬉しくて、楽しくて、個人的に凄く気持ちよくサッカーができました。ただ、ポジションが違うので、僕の方が獲っていないといけないですし、むしろ並ばれていると“負けた感”が強いので(笑)、善朗も良かったと思います」。次の対戦が組まれているのは9月25日のビッグスワン。個人としても、チームとしても、決着を付ける機会は思い出のスタジアムで残されている。
今年で30歳を迎える。シンガポールからスタートしたプロキャリアを着実に積み上げてきたが、そこに必要以上の気負いはない。「まずサッカーが大好きだからやるというのが根本にあるので、単純にここまでやれているのは嬉しいですし、大学を卒業してシンガポールで2年間やっていた時期に、凄くハングリーな気持ちでやっていたので、そこが大きいんじゃないかなと感じています。冷静に考えて、サッカー選手はなかなか厳しい世界で、そこで30歳までやれていることはよく考えると凄くありがたいなと考えますけど、普段は年齢がどうというのは特に考えていないです」。
周囲へ感謝を示すため。自らの存在を証明するため。そして何より、チームの勝利のため。河田が考えている自分の“仕事”は、昔から決まっている。「まずは試合に出続けることが最低条件ですけど、試合に出続けたのなら、二桁得点は獲りたいですね。チームとしてのやり方も含めて、フォワードの選手が点を獲るという形を作っていると思うので、20点は目標にして頑張りたいです。チームの目標がJ1昇格で、それを達成するなら、やっぱりフォワードが得点王になるというのは、どのチームでも一番の強みになると思うので、その得点王を目指して頑張ります」。
得点こそ、すべて。生粋のストライカー。河田のぶち込むゴールは、これからも見る者を熱狂に巻き込み、歓喜に踊らせる。
(取材・文 土屋雅史)★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
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