1歳から等々力を知るアズーロ・ネロの壁。川崎F U-18DF松長根悠仁は2人の“同級生”を超える勝負の1年に臨む

ファイティングポーズを決める川崎フロンターレU-18DF松長根悠仁

　まだ物心が付く前から等々力に通っていたという、いわば生粋の“フロンターレっ子”だけに、このチームで活躍したいという想いは誰よりも強く感じている。今年はプロサッカー選手という職業を勝ち獲るために挑む、勝負の1年だ。

「自分は1歳から親に連れられてフロンターレを見ていましたし、小学校5年生で入ってきたアカデミーも今年が最終学年なので、プレミアも含めて優勝できる大会は全部優勝して、良い形で卒団したいなと思っています」。

　最終ラインにそびえ立つアズーロ・ネロの壁。川崎フロンターレU-18(神奈川)のディフェンス陣を引き締めるDF松長根悠仁(2年=川崎フロンターレU-15出身)、要注目。

　攻守に躍動したのは、プレミアリーグ昇格を懸けた昨年末のプレーオフ。「プリンスリーグの時に先輩たちに迷惑を掛けてきてしまったのに、ミスをしてもカバーしてくれて、自分は『本当に助かったな』と思っていたので、そういう部分で恩返ししたいなと思っていました」と振り返る松長根は、阪南大高(大阪)相手にハイパフォーマンスを披露する。

　守っては、その1か月後に高校選手権で得点王に輝く鈴木章斗(現・湘南ベルマーレ)へ、CBでコンビを組んだ盟友の高井幸大と必死に食らい付き、見事にシャットアウト。さらにトップへと昇格した五十嵐太陽のクロスから、ヘディングで先制ゴールまで叩き出してみせる。

「リーグ戦でも高井ばっかり決めていて、自分は公式戦で1点もゴールを決めていなかったので、そこで決められたので自分でもビックリしました。持っていましたね(笑)」。シーズン初ゴールをここに持ってくるあたりに、星の強さも感じさせる。クラブの新たな歴史を塗り替えた一戦で、松長根の重ねてきた努力は1つの結実を見た。

　1月に参加したトップチームの沖縄キャンプでは、改めて自身の立ち位置を再確認してきた。「自分としては自信もちょっとあったんですけど、キャンプでへし折られましたね。プレースピード、判断のスピード、全部のスピードが全然違いましたし、初日は皆さんも全然コンディションが上がっていなかったはずなんですけど、それでも凄く上手くて、『ああ、ヤバいな』と思いました」。

　中でも衝撃を受けた選手について語る口調は、自然と熱を帯びる。「大島僚太さんはちょっとでも前を向かれたら背後に蹴られて、裏を取られてしまうような感じがあって、自分が行こうとしても行けないというか、剥がされてしまうことが多くて、凄くやりづらかったです。小林悠さんと知念(慶)さんとはマッチアップしましたけど、何回も何回も動き直されて、自分がちょっとでも集中を切らしたら、背後に抜けられたり、外されてシュートを打たれたりしたので、全然気が抜けなかったです」。